その殺人事件は30年前に起きたものと状況が酷似している。しかし、30年前世間を震撼させた凶悪殺人犯は、死刑を宣告された直後の法廷で射殺されて、もうこの世にはいない。30年という時を超えてつながっていたものはなにか?・・・・・
どっかで聞いたことがあるような滑り出し、こういう設定自体はそんなに独創的なものじゃない。それをどう処理するか、ってことだよなー、と思って読んでいると、「なんだ、そういうことなの?」と、ちょっと拍子ぬけになる。それもずいぶん前段で分かっちゃうわけ。ところがね、それが作者の巧妙な仕掛けなんだな、これが。
そこから次々と隠されていたものが明るみに出されるにつれて、謎は複雑に絡み合ってくる。断片が1ヵ所合ったかと思えば、さらに矛盾が現れ、ゴチャゴチャになって「もう読むのやーめた!」という気分になるころ、衝撃の真実がドーンとつきつけられるのだ。
私もちょっと油断していたところに、いきなりガンと一発食らったもんで、けっこうのけぞりましたよ。
登場人物がけっこう多い上に、なんとなく憶えにくい名前ばかりなので、なかなか頭に入らないのが難点だが、エピローグ前35ページのサスペンスは圧巻、一気にやられちゃいます。
ケーブルテレビ:ミステリチャンネル「闘うベストテン2007(海外)」第1位
ジャック・カーリイ著 文春文庫 771円+税

