2008年07月05日

青森西高定演2008

昨夜は青森西高校合唱部の第28回の定期演奏会。時間はコール・ステラの練習とかぶってしまったのですが、なんとかやりくりして、後半のLove song(ポップス系)ステージと松下耕、加藤学作品のステージを拝聴しました。
西高合唱部は青森の合唱界では名門校。コンクールでも優秀な成績を残していますが、このところ全国大会までは届いていない。東北支部、ことに高校の部を抜けるのは至難ですからなー。だけど、どこもみんな同じ高校生、可能性は常にある。西高だけじゃなく青森県高校生合唱部諸君、がんばってくれ!

伝統の清らかで繊細な声は健在でした。これも受け継がれていることだと思いますが、その声をきれいに歌にのせるのがなかなか上手い。ときどき、ハッと引き込まれる瞬間があります。歌う姿勢もきりりとしていて好ましい。若い合唱人によく見られる、これみよがしの表情や余計なしぐさで一生懸命さをアピールするところが全然ないのが好いですねー。でもちゃんと心をこめて歌っている様子は十分に伝わってくる。これはすばらしいことだと思います。
ただ、ポップス系の曲などを歌うときには、もっと肩の力をぬいて楽しい表情で歌ってもよかったな。わざわざ妙な演出をすることはないけど、彼女たちが笑顔で歌ってくれるだけで、聴くほうはその何倍も心楽しくなれるものだから。
邦人作曲家のものについてもそのあたりに通ずるところがあります。上手に歌ってはいるし、表現しようとする心の熱さもわからないわけじゃない。だけど、それが音楽の色合いの変化となって客席まで届かない部分が多かった気がします。
いまの姿勢は変えずにやってほしい。だけどもっと外向きになってもらいたいな。音楽に、音そのものにさらに命を吹き込み、それをケレンなく歌いあらわしていくことを鍛錬していけば、もっともっとスケールの大きな、存在感のある合唱になっていくにちがいありません。
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2008年06月15日

グリーンコール定演

昨日は混声合唱団グリーン・コールの第42回定期演奏会でした。
42回、すごいですねー。現在団員数は28人、それほど大人数ではありませんが、伝統ハーモニーは揺るがない。安定感のあるコーラスをいつも聴かせてくれます。

第1部は、初演作品である組曲「あがだんぶり」。あがは赤、だんぶりはこちらの方言でとんぼのこと。詩人の大橋春夫氏が標準語の原詩「あかとんぼ」を自ら東北各地の方言に翻訳(?)した詩集から、青森県のいろいろな地域のことばに訳された5編と原詩に小栗克裕氏が作曲した6曲。現代的な手法と抒情性が融け合った意欲的な作品でした。必ずしも易しいとはいえないこの曲を、それぞれの曲調を持ち前の確かな表現力で的確にあらわした演奏だったと思います。もう少し練りこめば、他の合唱団ではこうはいかないでしょう、というグリーン・コールならではの世界がさらにハッキリしたと思う。なにかの機会に再演を期待します。

第2部は、エルガーの合唱曲集。いいねー、イギリスものは。教会音楽でもイタリアやドイツものとは違う美しさがある。もっととりあげられるべき作曲家だな、と改めて思いました。オルガンによる伴奏も功を奏していました。

第3部は、世界の民謡など。グリーン・コール十八番のステージ。ソロも入って会場は一気に楽しい雰囲気になりました。ちょっとしたところの歌いまわしが上手いから、全体にほどよい味加減になる。いきいきとしていました。

この合唱団にはえもいわれない「温もり」があります。それは、コンクールなどで、どんなに優秀な合唱団の演奏を聴いても得られないものです。なぜか分からないが、聴いていると心地がいい。昨日の聴衆は、みんなそれを求めてきているんですよ、きっと。知り合いにもたくさんお会いしたコンサートでしたし、偏りのない幅広い年齢層の合唱ファンが集まっていました。すばらしいことですねー。

ひとつ欲を言わせてもらえば、総じて肌触りのよい暖かな感じの演奏でしたが、ここぞ、という何ヶ所かはもっとインパクトが欲しかった。安心して聴けることは大事なことだけど、カッと燃え上がる瞬間も、実は聴衆はひそかに待っている。
実力からいって、できない相談じゃないと思うんだけどな。
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2008年05月25日

県おかあさんコーラス春フェス

青森県おかあさんコーラス春のフェスティバル、県内のおかあさんコーラスグループが、青森市文化会館に集う例年の催し。ありがたいことに、今年は講師の役目をおおせつかりました。

少し疲れましたな。
コンテストじゃないので、点数や順位で頭を悩ますことはないけれど、講評は書かなきゃいけない。耳では演奏を聴きながら、へんてこな文章にならないようにことばを選ぶ作業を同時進行でやるのはけっこう大変ですよ。点数・順位をつけない分、より適切な感想を書こうという気持ちもあるから頭も疲れたけど、なぜか肉体的疲労もある。不思議だな。
今日は12団体、レベルはなかなか高かったと思います。平均点をとればいい線いくんじゃないかな。それぞれ持ち味のちがいはあるけど、「ちょっと方向ちがうんじゃないか?」というグループはひとつもなかった。単にみんなで歌うことだけを楽しむだけじゃなくて、アンサンブルをしていこうとする姿勢はどこの団にもありました。
もちろん、それにすごく成功していたところもあれば、もうひとつ表現につながらなかったところもありますが、でも、その姿勢を持ち続けることは大事なことです。

来月下旬にスケジュールが少し詰まっていますが、これで5月は一段落。
ふー・・・・・やれやれ。
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2008年05月24日

うとう女声合唱団第23回定演

うとう女声合唱団の定期演奏会、お招きをいただいて拝聴してまいりました。
23回ですか・・・・伝統の重みを感じますが、実際にはとても若いメンバーで構成されている合唱団。世代交代がうまくいったのでしょうね。清潔でしかものびのある魅力的な女声合唱を楽しませていただきました。
ルネサンスものから武満徹、高田三郎まで意欲的で多様なプログラム。うとうジュニア合唱団(少年少女合唱団)のステージが中にはさまっているといっても、量的にもけっこうある。スタミナがありますねー。さすがです。
指揮の辻村先生とメンバーの絆がしっかりしていて、先生のごく微妙な動きにも敏感に反応する。だから、無理やり作られたものではない、すごく自然な音楽の流れが常にある。これは凄い!一朝一夕にできこることじゃありませんねー。
そして、今回のスペシャル・ステージ、有志の男声陣とともに歌われた、高田三郎「わたしの願い」。よく「水のいのち」に似てるよね、とか言われますが、そうじゃありません。「水のいのち」が「わたしの願い」の線上にあるのだ。やっぱり名曲です。若いころはあまり理解できなかったところもあったが、この歳になるとその途方もない高田音楽の重さが分かってきます。このステージも若い方が多かったけど、良い経験をしたと思うよ。今は心の奥にしまわれたとしても、ある年齢に達したとき必ずその重みを実感するようになります。「美しく、正しく狂う」ことはひとつの究極かも知れない。今回も鋭く胸をつかれました。

客席も若い年齢層が圧倒的に多かった。ロビーは若い人たちのサロンのようになっていました。若いファンがいるのはいいことだけど、雰囲気的に落ち着かないコンサートになるのはしかたないかな?
高田三郎音楽とのギャップがちょっと大きかったなぁ。
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2008年05月22日

日フィル演奏会2008

第17回みちのく銀行ファミリーコンサート「日本フィルハーモニー交響楽団演奏会 2008」を拝聴。
プログラムはモーツァルトフィガロの結婚」序曲、「ピアノ協奏曲第20番」、そしてベートーヴェン交響曲第7番」。
指揮は「炎のコバケン」小林研一郎、ピアノ仲道郁代、悪かろうはずはありません。
フィガロ序曲では少し音がガサついていた気がして、今日はもしかしてあんまり調子よくないかな?とちょっと心配したけど、ピアコンが始まったとたんに様相は一変、ソロの仲道のピアノが素晴らしく、それに呼応したオーケストラもふくよかな響きになっていく。「悲しみは疾走する(小林秀雄の名言)」モーツァルトだった。良い曲ですなー。
そしていわゆる「ベト七」、「のだめ・・・」で一気にポピュラーになった交響曲だが、一楽章から終楽章の全てが凄いシンフォニー。どこを切り取っても、なんてカッコイイんだ。
コバケン先生も有名な唸り声全開、曲のカッコよさを倍加させる、さらにカッコイイ指揮。憧れます。いやー、熱かった。
アンコールは日フィルの十八番、弦楽による「ダニーボーイ」、美しい。熱狂の拍手に応えて、ベト七4楽章の最後の最後の大フィナーレをもう一度、あふれる熱を冷まさずに帰って欲しい、という心が伝わりました。

コバケン先生の唸り声付き本番はもう定番なんだなー。(「小林研一郎 唸り声」で検索するとワンサカ出できます)先生はよく通る声なので(交響曲をはじめる前に少し解説されたけど、そのときもマイクなし)オケがいっぱいいっぱい弾いていてもその音を超えて聴こえてくる。邪魔くさいという意見もあるみたいだけど、あれでまたこっちが惹き込まれてしまうという部分は絶対ある。私なんかけっこう唸り声楽しみにしているほうです。

私は唸り声は発しませんが、息を吸うときの鼻息音はけっこう大きいときがある。二階席まで聴こえた、といわれたことがあります。
自慢じゃないけど・・・・・・
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2008年05月18日

合唱団TSUGARU第12回定演

一地域に限定することなく県内外から集って合唱を楽しむ・・・現在の一般的な合唱団のあり方としては異色かも知れませんが、これからの時代を先取りしている、といってもいいかも知れない合唱団TSUGARU。第12回の定期演奏会を拝聴しました。
実力者ぞろいの合唱団です。総勢20人、人数は多くないけれど十分な音圧と、聴く者に訴えかけるしっかりした歌唱技術で1時間半、聴衆を魅了しました。終演後、メンバー全員が退場したあとも聴衆のアンコールを求める拍手が鳴り止まず、舞台に呼び戻されたのもうなずけます。
最初のステージは、W.バードのモテットとクルト・トーマスの「マルコ受難曲」。1ステだったせいか少し固さがあったかな?個々のメンバーの音程の感じ方に微妙な違いがあったような気がする。ハーモニーのバランスがうまくとれていないように感じました。もしかしたら、この曲でコンクール出場の計画?まだ工事中の部分があったのかも知れません。(マルコ受難曲は難曲だねー)
しかし、第2ステージの沖縄と津軽の歌からは、この合唱団の実力がいかんなく発揮されて、聴衆を一気に巻き込みました。第3ステージ廣瀬量平「海の詩」、ドラムキーボードが加わったミュージカルナンバーの第4ステージと、TSUGARUワールドが躍動しました。
指揮者の坂崎先生は性格の異なるそれぞれのステージをきちんと振り分けられていて、それに触発された部分は大きいとは思いますが、力の入れ加減・抜き加減をよく知っていて、美声ぞろいでありながらそれを常時コントロールできるメンバーたちだからこそ成し得る、コーラスの醍醐味を聴かせていただきました。
ブラボーーーー!
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2008年05月13日

名曲喫茶“ひまわり”母の日コンサート

弘前オペラの長内さん(ソプラノ)田中さん(ソプラノ)井上さん(メゾソプラノ)のコンサートでした。
弘前の老舗喫茶店“ひまわり”の二階にぎっしりと椅子を並べて50人ほどの聴衆、小さなコンサートでしたが、なんだか飛行船かなにかに乗り込んで、すーっと現実世界から離陸して空中を漂うようなほんわかした雰囲気の素敵なコンサートだったな。
童謡・日本歌曲からオペラのアリアまで、「母」にちなんだ(無理やり母つながりにしたのもあったみたいだけど)歌を、三重唱も交えながらそれぞれの方の独唱をメインに十数曲。聴き応えもありました。歌い手としてはもうベテランの域に達しているお三方それぞれの歌唱を堪能しました。アップライトだったにもかかわらず、たくみな鍵盤さばきで歌を支えた古川さんのピアノも絶妙でした。

“ひまわり”は私の学生時代(三十数年前)にはすでに伝説のクラシック音楽専門の喫茶店だった。弘前大学混声合唱団や弘前メンネルコールの先輩諸氏が常連客で、無言でテーブルに座ると好みの入れ方のコーヒーがすっとでてきた、なんて話をよく聞かされたたものです。
今もほとんどそのたたずまいは変わっていない。Cafeなんかじゃない「喫茶店」であることの誇りが感じられる名店です。北欧風のおしゃれおしゃれしたカフェよりも、ある意味ずっとモダン。自分の時間を落ち着かせて脈拍数をゆっくりさせたい時は、こういうとこじゃないとね。

写真をとっておこうと思っていたのに、カメラ忘れていっちゃった。
残念!
posted by りょうじー at 23:43| 青森 ????| Comment(2) | TrackBack(0) | 演奏拝聴記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年03月22日

同調会コンサート

国立音楽大学青森県同調会主催のコンサートをうかがってきました。
ピアノソロがお二方にピアノ連弾とソプラノ独唱、ショパンあり、ドヴォルザークあり、ガーシュイン、ドビュッシーまで色とりどり聴かせていただきました。
たぶんホールの響きの問題もあるとは思うけど、ピアノも声楽も少し生っぽく聴こえた気がする。ちゃんと煮えたものをいただきたかったのに、火が十分に通っていないまま供されたような・・・・。
改めてピアノという楽器の難しさも感じました。それぞれのピアニストはちゃんと弾きこなしてはいるんだけど、時折分散和音の羅列になってしまってそこから浮かび上がってくるはずのメロディーラインが十分に聴き取れなかった。聴衆を包み込む音楽的なふくらみがもっと欲しかったな。

そして、またも出ました、携帯着メロ
今日のプログラムのラストは地元の作曲家田中利光のピアノ曲「童愁」第2集<米町7番地>より「蔵の中」。流れる血の同一性をいつも感じさせる音楽で好きなのだが、曲が終わったその瞬間「ピロピロピロリ〜〜ン!」
あーあ、なにかもぶち壊し。
年配の男性でしたが、それだけにいっそう腹が立ちます。うっかりしていたのかも知れないけど、それははじめからちゃんと聴く気が無かったってことじゃないの?みんなでその人を非難の目で突き刺したんだけど、意に介するふうもない。
どうしたらいいんだろ、ああいう人。
posted by りょうじー at 20:28| 青森 | Comment(2) | TrackBack(0) | 演奏拝聴記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月05日

TVでアンコン

先日の県声楽アンサンブルコンテスト青森ケーブルテレビで放送されています。(今月何回か放映されるみたい)
当日聴けなかったのでその模様が見られるのはありがたいが、音はセンターマイク1本で録っているらしく最悪。演奏についてはなんにも感想を言えませんなー、今回は。演奏している雰囲気プラス県連のホームページに掲載されている審査順位表(この先生はこういう順位をつけているんだ、みたいな)、それに過去の演奏の記憶との比較を混ぜて想像するしかない。

今日は高校と一般の部を拝聴(見?)しましたが、どちらも上位のグループは接戦だった(順位の見た目より)に違いありません。ほんの少しのところで大きく順位が入れ替わった可能性が大きいし、たとえ今回の結果とちがったものが出たとしても全然驚きませんよ、私は。どこもみんな一長一短、人によってその長短の割合をどう見るかは違いますからねー。

声楽アンサンブルでは初の全国大会に駒をすすめたみなさんはさらに精進していただいて、青森県の合唱ここに在り!とその名をとどろかせて欲しい。がんばってください!
posted by りょうじー at 22:52| 青森 ????| Comment(0) | TrackBack(0) | 演奏拝聴記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年11月19日

全国大会見聞録・伍

《競演というより饗宴・続》

私の中では今度の全国大会での目玉は、《クールシェンヌ》と《カントゥスアニメ》の一般の部Aグループの2団体。どんな事件・事故が起ころうとも(本当に起きるとは思わなかったが)このふたつの演奏だけは聴き逃すことはできないと思っていました。コンクールに出場するアマチュア合唱団の中で最高峰のレベルを自分の耳で確かめたいというのはもちろんですが、コンテンポラリーが主流のコンクールに、敢えてブラームスとバッハを自由曲に持ってくる、その強靭な音楽をどうしても聴きたかった。
ここ数年全日本合唱コンクールでとりあげられる曲はあまりに偏りすぎていたと思います。その曲はコンクール向きではない、とか、これを演奏すれば成績が良い、みたいなことが公然と言われて久しい。この2団体がクラシックを堂々と演奏し金賞を獲得したことで流れが少し変わっていくとしたら、すばらしいことですねー。

《クールシェンヌ》奈良
今流行りのことばでいうと「ブレが無い」。仔細に聴き直せば細かい傷が皆無というわけではないかも知れないが、あの本番の十数分間、聴き手に微塵もそれを感じさせない。それは凄いことです。課題曲のパレストリーナから自由曲のブラームスまで、一瞬も、一音も逃がせない、もし聴きもらしたら絶対損してしまう、というような気持ちにさせられるのは滅多にあることではありません。
いわば理想の合唱!私たちがふだんの練習を通して、なんとかしてたどり着きたいと必死に模索している領域の合唱だと思う。いろいろやってみるのだけれどなかなかうまくいかない、だから「理想はあくまでも理想だし・・・」みたいなところで妥協してしまっているのが自分の現実だが、こういう演奏を拝聴するとそれはすごく甘いことなんだなー、とつくづく思ってしまいます。
もちろんただ精確なだけで無味乾燥だったわけじゃありませんよ。とくにブラームス、ロマン派の芳醇な香りが濃密に漂う演奏は人を酔わせるに十分すぎる味わいでした。

《カントゥスアニメ》東京
ここの演奏をCDで聴く人は「え、これ、そんなにいいのかな?」と思うかも知れないな。前述のように課題曲のパレストリーナの様式感は抜群のものがあったけど、逆にいうと、それはなにもかもピッタリあっていたということじゃない。むしろメンバーそれぞれが自由に闊達に歌いあうことでその味が出ていたと思うのです。
自由曲のバッハも然り。演奏スタイルそのものがコンクールの常識とは違っていた。だから、どこが合っていなかった、ここが揃っていなかった、といい始めればけっこうきりがない演奏だったと思う。
しかし、そこには「音楽はそういうことじゃないでしょ?」というメッセージがあったのであり、「聴いて欲しいのはそこじゃないよ」という主張だった、と私は受け取ったし、そうだったとすればそれは完全に成功だったといえるでしょう。通奏低音のオルガンとチェロを囲み、いまここに肩を寄せ合って歌い集う喜びと幸福を表したそのステージ上の光景は、まさに極上の音楽を伴った一幅の絵画でありました。その心の響きあいにコンクールという枠を超えて感動したのは私だけでは無いと思います。

このふたつの演奏は、ある意味で両極端に位置していたと思います。あの短い時間のなかで、対照的な演奏を、しかも連続して経験できたことは今回私にとってとても重要なことでした。これから合唱を続けていくにあたってのいくつかの大事なポイントを教えていただいたことに深く感謝しています。

結局、最後に思うのは、このふたつの素晴らしい音楽に優劣をつけるということに一体どんな意味があるのだろう?ということになってしまいますねー。

《全国大会見聞録》・完
posted by りょうじー at 17:27| 青森 ????| Comment(0) | TrackBack(0) | 演奏拝聴記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年11月18日

全国大会見聞録・四

《競演というより饗宴》

一般の部Aグループがはじまったのは午後3時過ぎ。
コンクールはどの団体も真剣勝負の演奏なので、聴くほうもどうしたって肩に力が入ってしまう。夜行バスの寝不足に加えて朝の「予想外の羽田往復事件」で、この頃には疲れもピークにさしかかりました。大変申し訳ないとは思ったのですが、中座してひと息入れざるを得なくなり、3団体ばかり失礼してしまいました。
ロビーで自動販売機で買ったお茶を飲んだり、全国大会では必ずある楽譜・CDの出店をひやかし、トイレも済ませて少しリフレッシュしたところで再入場しようとしたら、ロビーとホールエントランスの境で係の方から待ったがかかりました。1階席はもちろん上階席(東京文化会館は5階まである)もほぼ満席で入場者数制限がかかっているとのこと。「エライことになってるなー」と思いつつ待っていたら、ちょうどいいあたりで2階席に案内され無事着席。コンクールは出演者も聴いているので入れ替わりが激しいのですねー。係の方も大変だったろうと思います。

そして聴いたのが浜松ラヴィアンクール》。この合唱団は昨年の熊本の全国大会でも聴いて鳥肌がたったグループのひとつ。10人の女声合唱団。10人ですよ、10人。アンコンじゃないんだからねー、その実力には歌う前から脱帽ですよ。いや、期待にたがわぬすばらしい演奏でした。ことに自由曲として歌われた「妻への挽歌(西村朗・曲)」の、女声ならではの官能的であでやかな音楽に今回もすっかりやられてしまいました。もちろん美声の集まりですが、その美声が真剣にアンサンブルしようとするとき、とてつもない音楽が生まれるのだなー。

《アンサンブルVine京都)、《マルベリーチェンバリークワイア》神奈川)のパフォーマンス、手拍子・足拍子、歌いながらのフォーメーションの変化などはとても楽しめたと同時に、音楽をよりよく伝えるための必然としてやったおられることに感心しました。あそこの境地まで行くのはけっこう大変なことだと思う。自分が今お世話になっているグループとああいうパフォーマンスをいっしょにやろうとしても、絶対とってつけたようにしかならないと思うからなー。

さすがに全国大会、私が聴いた一般Aは、すべて「粒選り」というのにふさわしい演奏ばかりだったと思います。ことに自由曲はそれぞれの主張をどの団体もみごとに展開していて、審査員を悩ませたにちがいありません。
しかし、結局、なんといっても、プログラム13番・14番と続けて登場した横綱2団体、《クール・シェンヌ》《カントゥスアニメ》の名をあげざるをえませんねー。このふたつの恐るべき合唱団があい前後して演奏されたことは天の配剤。その空間、あわせて20数分間の時間に居合わせた私たちはほんとに仕合せ者だったと思います。

ちょっと長くなりそうなので、続きは次回「全国大会見聞録・伍」にて・・・・
posted by りょうじー at 21:41| 青森 ??氷霰| Comment(0) | TrackBack(0) | 演奏拝聴記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年11月16日

全国大会見聞録・参

《閑話休題》

東京文化会館.jpg

ちょっとブレてしまいましたが、東京文化会館の大ホール。
音楽の「殿堂」と呼ぶにふさわしい、堂々たる威容。演奏者、聴衆が一体となった数々の歴史的な名演奏が、まさに風格となって漂っているのを感じます。ホールに通じるドアが一枚扉で完全に外音が遮蔽されないなど、今の時代に合わない点も指摘されているようですが、よく考えれば、こういう場所のロビーもホール内と同様静寂な空間でなければならないわけで、ドアを出た途端に大声でしゃべりだしたりするのは非常識というもの。この大会でも「お静かに」のプラカードを掲げた係りの方がロビーにいらっしゃいましたが、それはちょっと悲しい風景でした。

昼の休憩時間、ほんとは会館内のレストラン「精養軒」と昼食をとるつもりだったんだけど、あまりの人の波。午後一番の大学の部Aグループはどうしても欠けなく聴きたかったので、止む無く外へ。坂をちょっと下って駅側に渡ったところのスペイン風の店(おそらく夜はスペイン料理とお酒の店)のカウンターでランチのカレーを注文。スパニッシュなのにカレーライスというのもなんだかなー、と思ったんだけど、けっこう美味かった。
会館に帰る道すがらの上野の森美術館では「シャガール展」、会館隣の国立西洋美術館では「ムンク展」が開催されている。なるほど人も多いわけだなー。時間があったらハシゴも厭わない展覧会だけど、今回は横目で見ながらパスせざるを得ませんでした。
こんど絶対回るぞ、上野界隈。



バッヂふちつき.jpg これが今回の全国大会のロゴ。
 このデザインのバッジが出演者証。
 さすがにお洒落ですねー。
 このバッジをもらえるということだけでも、
 全国大会出場の価値はあったよなー。
 かえすがえすも残念!



posted by りょうじー at 16:43| 青森 ????| Comment(0) | TrackBack(0) | 演奏拝聴記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年11月15日

全国大会見聞録・弐

《課題曲を振り返る》

全国大会が終了し、今年の全日本合唱コンクール課題曲の全ての演奏が出揃ったことになります。そこで課題曲について改めて思ったこと。
男声については演奏の数そのものが少ないから、比較という意味で言及できないので割愛させていただきます。女声の課題曲は、前にも書きましたが珠玉の4曲。今回全国大会でも美しい演奏を聴かせていただきましたが、東北支部大会高校の部の競い合いの中での粒よりの名演があまりに鮮烈に残っている・・・・ということで、私が深くかかわったということもあるので混声の課題曲について私見を。

混声合唱の課題曲、いわゆるG1〜G4、演奏頻度でいうと第4位がG4の“U”:孤独の迷宮(五つの母音の冒険」から)長谷部雅彦詩・曲。
全国大会でもこれを採りあげたのは職場の部の1団体のみ。したがって聴いておりませんが、この曲を選択するのは勇気がいったんじゃないでしょうか。春の課題曲選びのときは、ほんとのことをいうと食指がちょっと動いたんだよねー。これを鮮やかに演奏すればインパクトがあるんじゃないか、と思ったりしたんだけど、合唱団との共感度を考えると二の足を踏まざるを得ませんでした。これはきっと良い曲ですよ。機会があったらやってみたい。

第3位、G3“鼻”(「人体詩抄・抄」から)新川和江詩・池辺晋一郎曲。全国大会では5団体が演奏。
大学Bグループの2番目と3番目の《立正大グリー《福岡教育大》の課題曲が“鼻”。お目当てだったんですがねー、間に合わなくてほんとに残念!聴きたかったなー。聴けたのは《北海道大学混声合唱団》の演奏のみでした。好みとしては自分に合っている、と思いました。お洒落なところがけっこう出ていたし、音楽的な部分がしっかりとしていて、聴くほうがシラケるようなユーモアの押し付けもない好演だったと思います。ただ、これ以上のなにかを加えてインパクトを出そうとすると、結局セリフ・擬音系の演出でやっちゃおう、ということになる。そうなるとちょっと違うな、と思うわけで、そのへんの頭打ち的なところがどうしてもあるんだよねー、この曲。私もけっこう試行錯誤した部分ではあります。

第2位、G2“Dona nobis pacem”グリーグ曲。13団体が選んでいました。
とりあげていたのはやはりBグループの団体が多かった。短い曲だけれどスケールは大きい曲ですからねー。しかし繊細さも同時に要求されているこの難曲、「おおっ、これだ!」という演奏は聴けなかった。一般Bではきっと良い演奏があったんだろうな。
《東京工業大コールクライネス》、140人という大所帯、後半のヤマ場では大迫力のサウンドが聴けるのでは、と期待したが、案外肩透かし。あれれ、という間にスーッと曲が終わっちゃった。静かな出だしからゆっくりと高揚していき、ついに訪れるクライマックス、そしてまた熱は冷めていっていずこともなく消えていく。楽譜で見るとそのイメージはとても分かりやすいんだけど、実際音にしてみるとそれがメチャ難しい。ポリフォニックな部分にだけこだわってもダメだし、かといって、音のマッスを表現しようとタテの合わせを気にし過ぎても失敗する。曲者音楽でした。

堂々の第1位はG1“Valde honorandus est”パレストリーナ曲。24団体が演奏するというぶっちぎり。
今年は私自身はこの曲をやっていないので、かえって客観的に楽しめましたが、これもルネサンス音楽のおもしろさを思い切って出したところはほとんど無かったと思う。中間部から後半にかけての絢爛たるポリフォニーをもっと楽しませてもらいたかったですねー。
西洋音楽ももとをたどれば単旋律。誰か音域が合わないやつがいて違う音程で歌ったのが四度違い。お、これ、いいね、とハーモニーが生まれ、さらに修道院のこっちの回廊と向こうの回廊で同じ旋律をたまたま時間ずれで歌われたのが、お、これもいいじゃん、とポリフォニーが生まれた。(のじゃないかと思う)異なる場所(合唱団の立ち位置ということじゃないよ)から旋律が次々に生まれ、私たち聴衆の目前で絡み合っては去っていく。その妙味を聴かせてくれたのは私の聴いたなかではただひとつ、《カントゥス・アニメ》だけでした。曲の出だしから終止まで、音が有機的に連絡し合い、呼応し合っていたのはここだけだった、と思います。今年もっとも心に残るG1でした。脱帽!

今年の混声の課題曲4曲は、いろんな意味でちょっと難し過ぎだと思う。いわゆる難易度は高めでもいいけど、もっと素直な選曲にして欲しいな。
そろそろネタ切れなんですかね?

来年はG1に挑戦してみようかな。
posted by りょうじー at 14:24| 青森 ?J| Comment(0) | TrackBack(1) | 演奏拝聴記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年11月14日

全国大会見聞録・壱

朝のアクシデントで聴くはずだった大学Bの4団体を聴いていない、朝でその日使うべきエネルギーを7割がた消費してしまい、一般Aの一部を聴くのをサボった、二日目の職場・一般Bは予定があったのでパス・・・・・・というわけで、なんとも中途半端な聴きかたになってしまった今回の全国大会ですが、そんな中でも私なりの感想を。
(いわずもがな、ではありますが、全く個人的な独りよがりの感想ですので悪しからず)

《学生指揮者活躍》

息せき切って東京文化会館の二階席に腰をおろした(一階席はすでに満席で入場を断られた。さすが東京、朝からすごい熱気ですなー)のは、大学の部Bグループの5番目北海道大学混声合唱団がはじまるところでした。
おお、学生指揮者ですね。課題曲、自由曲ともスッキリと仕上がっていて好演奏だったものの、これぞ、というインパクトが無かった感じがしたけど・・・・・結果は金賞。まとまりは良かったからなー。あんまり印象深くないのはこっちの聴く体勢がちゃんとしていなかったからかも知れません。学生指揮者さん、なかなかやるな。
そう思いながら、大学Bを聴いていると、でてくるでてくる、学生指揮者。みんな指揮が上手いよ。感心しました!
ちゃんとブレスをさせている。変拍子もなんなくこなしている。アインザッツもまずまず的確だし、ポイントをきっちり抑えて振っている様子が後ろからも見てとれる。いやー、たいしたもんです。彼らがなに学部で今なにを勉強しておるのか知らんが、合唱指揮者の道に進んじゃったほうがいいと思うよ。持って生まれた資質も確かにあると思うけど、今は勉強する機会が多様で、実際ちゃんと勉強しているのだと思う。すばらしい!私が学指揮だった頃(40年前の話)は、勉強する環境があまり無かった。完全自己流だったし、回りの身近な先輩指揮者の振り方、練習のつけ方なんかを見よう見真似でやるしかなかったのね。ちょっとうらやましいな。
今年も金賞受賞、140人という大人数の集中力を切れさせることなく大学生らしいサウンドを響かせた《東京工大コールクライネス》、名曲「おらしょ」を若々しい解釈ではつらつと演奏した《三重大学合唱団》の学指揮さんをはじめ、大学の部で堂々と指揮されたすべての学生指揮者に賛辞を贈りたいと思います。
事実、Bグループでは外部から指揮者を招聘している団体を学生指揮の団体が上回るという結果になりました。すごいですねー。

ただBグループ全体(4つ聴いてないけど)ということで思い出してみると、なんとなく印象が薄い感じがする。学生指揮者は指揮が上手かった。それはそうなんだけど、どこかこじんまりとまとまっているような感じ。全国大会のただ1回のステージに賭ける覚悟が欠けているように見えるのです。声も悪くはない、音量もある、音楽もきちんと構成されている、しかし、なにかもの足らない。そこからドンと飛び出して若いエネルギーをダイレクトに聴衆に伝え興奮を呼ぶような演奏、そのためにはやはり学生指揮者のキャリアではいかんともしがたい部分があるのじゃないでしょうか。
こんなことを書くのも、実は大学Aを聴いたから。
聴いた誰もが異論をさしはさむ余地のないAグループ金賞2団体。
《宮崎女子短大合唱団》、有川先生のほとんど魔術ともいえる音楽。あたかも聴くものひとりひとりに直接訴えかけてくるような圧倒的な声。ソプラノ・メゾソプラノ・アルトそれぞれパワフルでありながらバランスを損なうことがない。しかもその時、その瞬間に出す声を瞬時に選択しすかさず音楽にしていく鋭敏な感性。立体的な合唱は群を抜いていました。
《早稲田大コールフリューゲル》、なによりもまず高い音楽的なセンス。あらゆる基礎が見逃されていないしっかりとした土台の上に構築されたエレガントでありながらエネルギーに満ちた演奏。課題曲の間宮芳生には少しそぐわないかな、と思わないでもないがそんなことはメじゃありません。とにかく聴衆をとらえて一瞬も離さないその凄い音楽性は驚嘆です。それはやはり清水先生の薫陶と本番の指揮の凄さによるものだと思うのです。

私自身、学指揮出身ですから、このコンクールに出場するしないにかかわらず、すべての若い学生指揮者を理解し応援していきたいと思っています。若いときはさまざまなことになかなか気づけないもの。貪欲にしかし謙虚に先達の教えを聞いて欲しい。そして日本の合唱界に新風を吹き込む原動力となって今後も活躍して欲しいな。

毎年メンバーの入れ替わりが宿命の大学合唱団、レベルを維持することの難しさを改めて感じた全国大会大学の部でもありましたが、この熱い渦の中に来年はぜひ立ちたいとも思うのでした。
posted by りょうじー at 16:49| 青森 ????| Comment(0) | TrackBack(0) | 演奏拝聴記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年11月13日

全国大会見聞録(でもその前に)

全日本合唱コンクール全国大会、麗しいその響き。コンクールに毎年挑戦し末席を汚している者として、力及ばず大舞台に乗ることはかなわなかったけれど、あの独特の空気の中に身を置くことで次回の糧としなければならん!と思い立ち、行ってまいりました、東京文化会館。今も数々のすばらしい演奏が頭の中をめぐり、心の中にふつふつと湧き上がる。早速、感想をつづっていきたいところだが・・・・

会場入りする前に起きたアクシデントを先ず書かねばなるまい。「恥をさらすようですが・・・・・」どっかの党の代表の名(迷)言をそのまま引用したいその出来事とは・・・・・

ことの始まりは家に腕時計を忘れてしまったこと。途中で気がついたものの「ま、ケータイがあるからいいか」と取りに戻らなかった。それがそもそも間違いのもとだったのだ。
東京行きの夜行バス、ご案内のとおり、狭苦しい、走行音は気になる、隣のいびきが耳につく・・・・さまざまな要因が眠りを浅くする。慣れていないから少し酔い加減にもなる。しかし少しの寝不足に音をあげていてはなんにも出来ん!と、そこは覚悟を固くして乗り切り、バスは予定よりも40分ほど早く東京八重洲口に到着。東京はしとしとと晩秋の雨。朝飯をここで食べようか、それとも上野まで行って、と思案しながら洗面所で顔を洗う。時間を一応確かめようと上着のポケットに入れたケータイを探る・・・・・・な、無い!!!
ケータイは持っていったバッグの中に格納しておくはずだったのだ。しかし、時計を忘れたので上着のポケットに無造作に突っ込んでおいたのが大失敗。バスを降りてからまだ30分ぐらいしか経っていない。ぼんやりした頭で思い返したが、バスの座席の下に落としてそのまま降りてしまったとしか考えられない。降車係のおじさんに聞いたらすぐ近くにバスのチケット売場があり、そこに遺失物の窓口があるという。とにかく相談するにしくはないと思い、その窓口へ。
忘れ物は珍しいことではないらしく、係の方もまずまず親切。届出の書類を書いて提出、バスはすでに車庫にむかってしまったので1時間から1時間半ぐらいしたらもう一度来るようにいわれたが、その時間でも9時前後、コンクールには悠々間に合う。ま、しかたがない、落とした自分が悪いのだから、と朝食をゆっくりとりながら時が過ぎるのを待った。
9時少し前に再度遺失物窓口へ。
スッとケータイがでてきて「ご面倒かけました!」とお辞儀をして山手線ホームに向かう・・・・・・・・・
はずだったのだ。
ところが係員の方の顔がいまいち暗い。嫌な雰囲気。

「申し訳ないんですが・・・・」
(えーーーっ!もしかして別のところに落としちゃってるのー?)
「モノは車内にあったらしいんですがね・・・・」
(なんだい、おどかすんじゃねーよ。)
「お客さんの乗ったてきたのは京急バスなんですよね」
(そういえばJRじゃなかった・・・・)「ここ、JRの窓口なんでねー・・・・・・・・・」

要するにそういう落し物とかは、JR・京急間で遺失物の受け渡しシステムが無いので自分でそっちに取りに行くか、着払いの宅配青森に送ってもらうしかない、という話。東京にケータイを置いてけぼりにする訳にもいかん、と思ったので、とりに行くことに。

「申し訳ないんですが・・・・」
(またかい、こんどはなに?)
「ちょっと遠いんですよ、そこが。電話番号教えるので連絡とってみてください」
(なんだか奥歯にものの挟まったような・・・・)

身から出た錆である。なるようにしかならんと腹を決め、公衆電話から教えられた電話にかけてみる。恐る恐る場所を聞くと
「羽田なんですよねー、ここ」

は、羽田ーーーっ・・・・・・・


もう乗りかかった船。なにもかも自分のドジ。しかたがありません。
降り止まぬ雨の中、結局今回乗るはずのないモノレール往復、しかも羽田空港手前の「天空橋」などという、こんなことがなければ一生縁のない駅まで行き、ケータイは無事手元に戻ったものの、会場に着いたのは10時40分。大学の部Bグループ最初4団体は聴けなかったというお粗末。
東京人はみな冬の装い、襟をたてて電車に乗っている中で、私ひとりただただ汗みどろ。うつむいて何度もハンカチで汗をぬぐうしかないのでありました。

そういうわけで拝聴感想記本編は次回より。
(ひっぱるなー、俺も・・・)
posted by りょうじー at 13:58| 青森 ??| Comment(4) | TrackBack(0) | 演奏拝聴記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月15日

コジ・ファン・トゥッテ

昨夜は弘前オペラ第37回定期公演、演目はモーツァルトの傑作オペラ「コジ・ファン・トゥッテ(女はみんなこうしたもの)」。
37回、まずこれがすごい!市民オペラとしてすっかり定着していて、年に1回の公演をみんな楽しみにしているのです。開場前には良い席を確保するために長い列ができる。今回もなにか設備に不具合があったようで開場時間が10分押してしまったものだから、まさに長蛇の列でした。
大きなスポンサーなしでのオペラ上演は、経済的にも体力的にもきっとすごく大変なことだと察しますが、市民の期待の熱さがやり遂げさせているのでしょうね。(私も特別会員に加わらせていただいて微力ながら応援しています)

モーツァルト・オペラは弘前オペラの十八番といっても良いと思います。これまで上演された「フィガロの結婚」「魔笛」「ドン・ジョヴァンニ」はいずれも大好評。これでモーツァルト4大オペラ制覇ということになります。(5大オペラとなれば「後宮からの逃走」が残っていますが)

晩年の作品ですからモーツァルトのエッセンスがいっぱい。どこを切ってもモーツァルト、みたいなところが楽しいですねー。他のオペラのようにポピュラーなアリアはないけれど、登場人物のそれぞれの思惑を表す重唱の楽しさはピカイチ。6人のキャストのきちんと役割を心得た歌唱も好演で舞台にひきこまれました。いつもながらピットからあふれ出る弘前オペラ管弦楽団の演奏もまたお見事。さすがベテランぞろいです。
ただ、このオペラ、人間の心の移ろい、弱さを描いているとはいえ、筋立てとしてちょっと人の心をもてあそび過ぎているきらいがあるので、ことに私たち日本人にはちょっと素直に受け取れないところがある。だから熱演が少し空回りしてしまうところがどうしてもでてきてしまうのだなー。日本語訳上演もそういうわけで少し逆効果になった面があるような気がします。そういう意味ではちょっと難しいオペラなんだな、と改めて思いました。

もちろん、キャストはそれぞれ個性を殺さず、しかししっかりしたチームワークを見せてくれました。ブラボー
中心となる男女二組のカップルはほとんど出ずっぱりでしかも衣裳の早替わりも交えながらですから、これまでの稽古も含めて考えればおそらく限界ギリギリの本番だったにちがいありませんが、全二幕、りっぱに歌いきられたことに拍手を送りたいと思います。さらに狂言回しのアルフォンソ役の須郷さんのベテランの味が、ともするとドタバタしがちの芝居をきりりとひきしめていたのが印象的でしたし、デスピーナ役の長内さんの、初演でありながらすでにはまり役といってもよい小悪魔演技と歌唱が素敵でした。

もちろんあらゆる面で本場ものとは比較になりません。比較するのはむしろ愚かというもの。
もしかしたら弘前オペラのこの雰囲気、この感じ(ことばでは表現できない)こそが、歌劇の持つ本来の世界なのでは、と思ったりするのです。
posted by りょうじー at 11:24| 青森 ????| Comment(0) | TrackBack(0) | 演奏拝聴記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月08日

Nコン全国大会

天気は悪いし、修理中で車もない。本日は一日中家の中で過ごしました。
NHK全国学校音楽コンクールの中学・高校の部全国大会テレビでやっていたので、ズラズラ観て聴きました。テレビだとよく分からないけど、どちらの部もズバ抜けて・・・という学校は無かった気がします。ブロック大会を抜けてきたところはいずれもちゃんと音楽が磨かれていたし、ここ一番にかける意気込みも凄い!だけど、入れ込み過ぎて、りきみが音より先に出てしまったり、音程がうまく決まらなかったところが何校かあったように思う。そのへんのさじ加減はなかなか難しいところなんですねー。

中学校の部の講評で合唱指揮者の大谷研二氏が「君たちは音楽の豊かな世界のドアをちょっと開けただけの位置にいるのです。ここで燃え尽きてしまったらもったいないよ」というようなことをおっしゃっていました。その通りですねー。指導される先生も、今やっていることに一生懸命なのは分かるけど、そのへんのことをきちんと生徒たちに教えていただきたいと思います。

審査結果、小中高を通じて東北代表が1個も金をとれなかった。高校の部にいたっては、東北代表の2校とも金銀銅賞から外れてしまった。言ってみれば、予想外の番狂わせ?・・・合唱王国の栄光をほしいままにしてきた東北合唱界についに翳りが?・・・・・
いやいや、東北が落ちてきたんじゃなくて(安積黎明も宮城三女も例年にも増して良い演奏だったと私は思う)他ブロック代表ががんばったんですよ。ひところのような地域によってあきらかに差があるということが無くなったということ。力が拮抗すればどんな結果も起こりうる。コンクール、コンテストでは常のことです。人間が審査することですものね。
とはいえ、日本合唱地図が塗り替えられつつあるということか?この結果は。
全日本のほうの全国大会(今月下旬盛岡で開催される)も、そういう意味ではおもしろくなるかも知れませんな。
posted by りょうじー at 21:16| 青森 ????| Comment(2) | TrackBack(0) | 演奏拝聴記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月03日

東北大会追想記(2)

2日目の中学校の部、私は自分の頭のハエを追うので精一杯でほとんど聴かずじまいでしたが、聴かれた複数の方のお話では「考えられない」「あり得ない」演奏の連続だったらしい。選んでいる曲も高校・一般とほとんど同等のレベルという印象です。この中学生たちが高校・大学と進んでも合唱を続けて欲しいと願うばかりですが、いまのところそこのネットワークがうまく繋がっていない感じがありますねー。自分たちはほとんど限界までやっているので、次が考えられない、ということなのかな?合唱の世界ってそんなに浅いもんじゃないんだがなー。

というわけで、3日目の一般の部。
東北支部大会の一般の部は、これはもー・・・・・・・・(絶句)
どの団体もそれぞれ色や輝き方は異なるけれど、みんな宝石のように人を惹きつける。僅差で全国出場を果たせなかった団体も、もっとたくさんの人に聴いていただきたかった。
どの団体も、はりのある豊かな声、歌を伝える技術、満ち満ちる精神的なパワーをお持ちで、しかもそれらをたくみにバランスをとりながら精妙に演奏する、高い音楽的センスを強く感じました。

演奏スタイルということになれば、個人的な好き嫌いはそりゃぁあります。ここまできちゃうとそんなものはふっとんでしまうわけですが、一応強く自分の心に残っている演奏2団体だけ・・・・・・

鶴岡土曜会混声、課題曲G1のソプラノのテーマがでるまでのテノール・アルトの絡みもすばらしかったが、ここはなんといっても自由曲の PizzettiのRequiem。これみよがしのアクロバティックなところがない曲なのでコンクール曲としてはかえって難しい部分もあると思うのだが、演奏に厚みがあり、その演奏の厚さそのものがダイレクトに説得力につながっている。人の声が集まり重なることによってのみ生まれるエネルギーの熱のたぎりを感じました。ブラボー

コンクール参加者の姿勢として最も共感したのが安積合唱協会、自由曲はブラームス、もちろん今流行りの現代的な和音も変拍子もあるわけじゃない。しかし、この圧倒的な音楽パワーはなんだ!あくまでも端正でオーソドックス、しかしその合唱の内部にある愛というか、信念というのか、ものすごく強い存在が心を打つのです。
反省させられました。私はこのごろちょっと歪んでいました。瑣末なことばかりを気にして背筋が曲がっていた。自分の姿勢を正す演奏を聴かせていただいた安積合唱協会に感謝します。

収穫の多い東北大会でした。いろいろな意味で勉強になったなー。
出演者・スタッフ合わせて参加された皆々さま、ご苦労様でした。ありがとうございました。

審査結果の詳細はこちらへ↓

http://aompcl.hp.infoseek.co.jp/con-tohoku07kekka.htm
posted by りょうじー at 14:27| 青森 ????| Comment(2) | TrackBack(0) | 演奏拝聴記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月02日

東北大会追想記(1)

1日目の高校の部は舞台上手袖(合唱団が退場するほう)で全団体聴きました。が、計時の係をおおせつかっていたのでじっくり咀嚼しながら聴くというわけにはいかなかった。ストップウォッチ押すのも、けっこう緊張するし神経も使う。だから、非常に残念なことにあんまり演奏が記憶に残っていないんだよな。
でも断片的に残っているところを思い出してみると・・・・

トップバッターで歌った、横手城南高と湯沢高の合同合唱団。朝一番、9時40分の本番、しかも女声13人という少人数でありながら、驚愕の美しい声、のびのびとしていて袖で聴いていてもホール内に凛と響き渡っているのが良く分かる。自由曲のグレゴリオ聖歌によるAve Mariaとパレストリーナのミサも少人数である利点を最大限にひきだしてみごとな演奏でした。すごい!

不来方高校、ドイツ語の自由曲がすばらしかった。どっからああいう曲を見つけてくるんだろう?先生がすごく勉強しているんだろうなー。声の集団芸術としての合唱のおもしろさを、ほとんどプロ並みといっていいスキルと声で表現していたと思います。衝撃的でした。まさに脱帽です!

Bグループになると、もうどの高校も圧倒的な演奏で息も継げない。演奏に引き込まれてストップウォッチを押すのを忘れそうになる。はっと我に返るということが何度もありました。だから「凄かった」ということは憶えているけど、演奏がどうだったかがほとんどとんじゃってるのですなー。
そのなかで、女声150名というまさに威容の合唱団、宮城第三女子、審査結果を見ると意外に順位的に下だったようだけど、私はすばらしいと思いました。あの人数を集中させ、ごく微妙な音楽の琴線をふるわすのは至難だと思う。簡単にできることじゃない。人間技じゃないよ、ほんとに。

高校の部はA・Bあわせて41団体、うち男声0(うーん残念)混声10、あとは女声合唱でした。高校男子、大志をいだけっ!!
だけど、私は聴けませんでしたが2日目の中学の部では混声合唱の飛躍がすごかったとうかがったので、これから大いに期待がもてますねー。
女声合唱の課題曲は4曲とも粒のそろった名曲揃い、まずまず偏ることなく選ばれていたと思います。(混声の課題曲選択で今年はすごく悩んだのでうらやましい)それぞれの曲の名演奏を聴かせていただきましたが、ことに、F4の谷川俊太郎・三善晃の名コンビの手になる「悲しみは」の深い音楽に、私の心の震えはとまりませんでした。

<続く>


審査結果の詳細はこちらへ↓

http://aompcl.hp.infoseek.co.jp/con-tohoku07kekka.htm
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2007年09月24日

合唱祭・補

昨日書いたようなわけで、後半の演奏はほとんど聴けませんでしたが、前半の部で印象に残ったところの感想を・・・・

・合唱団TSUGARU
 沖縄メドレー(涙そうそう〜えんどう花〜島唄)
・混声合唱団グリーン・コール
 お祭りマンボ・愛燦燦

この二つの合唱団には共通したところがありました。
どちらのグループも実力の程は定評があります。どちらも大人の落ち着いた雰囲気のある合唱団。そのときの事情で人数的にアンバランスの本番でも、それをいささかも感じさせない。ひとりひとりが優れた合唱感覚を持っておられることがわかります。
豊かで艶のある声で声量もちゃんとあるのに、今回の合唱祭ではパワフルなところを使わずにあくまでも軽めでたおやかな歌唱で、曲の持ち味を最大限にひきだして聴かせてくれました。
私自身、コンクールシーズンということもあって、無意識のうちに肩に力が入り過ぎていたことを諭された気がします。そうなんだよなー・・・・無理を重ねたってロクな結果にはなりませんよねー。
ちょうどいい時に、ちょうどいい音楽を聴かせていただいた両合唱団の皆さま、ありがとうございました。

・青森大学合唱部
 君をのせて・Ave verm corpus(モーツァルト)

ひさしぶりに青森市合唱祭に登場した大学合唱団。いやー、待望久しいですなー。男声側になんだか見たことのあるサポートが混じっていましたが(それが弘大混声のOBなのを知る私はちょっと笑ったけど)とても立派に歌っておられたと思います。清涼感のある素直な歌唱はこれからの成長を大いに期待させるのに十分でした。今の世の中、大学合唱団がその活動をコンスタントに維持するのはなかなか難しいところがあるとは思うけれど、ぜひがんばって欲しい!
君たちのその熱い心を後輩に伝えていけば、きっと広がっていくよ。
いつの日か、弘前大の合唱団とジョイント・コンサートやろうよ!
posted by りょうじー at 21:58| 青森 ????| Comment(0) | TrackBack(0) |