2014年04月15日

白ゆき姫殺人事件《映画》

観てからだいぶ時間が経っちゃったので細かいところは忘れたけど、記憶を甦らせつつ。
原作は湊かなえ。本は読んでないが多分いい感じで映像化になっているんじゃないかな。未解決の事件をとりまく多数の関係者がそれぞれの視点での証言、その矛盾や錯綜のなかから思いも寄らない真相があぶり出されるという湊かなえワールドが十分に楽しめます。人間のものの見方のゆがみ、勝手な思い込みが事件をさらに混沌とさせる、といういつもながらの手法に加えて、いま問題になっている匿名SNSとマスメディアの病みを鋭く衝いている点もポイント高いと思う。主演の井上真央は熱演だったけどどこか浮いていたな。役柄がエキセントリックなのでしょうがないかもしれないけど。むしろ続々と出てくる証言者たち(端役といってもいい)の自然な演技によるリアリティに感心しました。そのへんは中村義洋監督の演出が活きていたと思います。
ただ、さまざまな工夫はされていたものの、同じようなシーンの繰り返しになってしまうので映像的に飽きてくるのは否めません。本で読むのはそんなに気にならなくても映画になるとやっぱりふくらみがなくなってしまう。(まぁ、非常に難しいところではあると思いますが)
お涙頂戴的な要素を入れすぎているのもあって、終盤に向けてのサスペンス感がうすくなったのが残念。

★★★☆☆ “意外な犯人”ものとしてはなかなかよくできていますが
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2014年03月29日

アナと雪の女王《映画》

せんだっての米アカデミー賞、長編アニメーション部門で「風立ちぬ」がノミネートされて話題になったけど、結局こっちが最優秀に選ばれました。そりゃ、そうだ。「風立ちぬ」も優れた作品ではあるけど、やっばりアメリカじゃこれだろうなー。この2作品はカテゴリーとしてはアニメ映画だけど、種類としちゃ全く異なる。 同列に比較できないもんだと思うし。
こういうミュージカルアニメーションを日本で作るのは無理でしょ。やはりこれまで綿々と続いてきたディズニー漫画映画の伝統があったからこその作品ですよ。音楽と動画のシンクロは半端ない。キャラクターはけっこう大胆にデフォルメされているのに、その動きの自然な滑らかさ、表情などの細やかで豊かな表現は驚くほど精密。昔から変わらない独特の色彩感にも感動します。
ストーリーに深みがないという批判もあるみたいだけど、もともとこれはアンデルセンの童話。いつの時代にも変わらないおとぎ話の王道なんだから、むしろ一本筋が通っていることを賞賛すべきだと思う。
アカデミー賞の主題歌賞をとった“let it go”をはじめ、音楽も超のつく素晴らしさ。冒頭シーンは素敵なコーラスではじまります。我が合唱界のお仲間衆にもお薦めしたい一本です。
言うまでもないことですが、ぜひ映画館の大スクリーンで!

★★★★★ やはり本場ものが楽しめる字幕版がお勧め
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2014年03月25日

ウォルト・ディズニーの約束《映画》

ディズニー映画の名作ミュージカル「メリー・ポピンズ」、実は劇場で観ていない。ちょうど多感な思春期で、ディズニー映画なんか卒業しちゃったよ!と思い込んでいた頃だったんだなー。
もちろんあとになってテレビで放映されたものやレンタルビデオで観ています。シャーマン兄弟の書いたこのミュージカルのナンバーは名曲揃い、絶頂期のジュリー・アンドリュースの歌唱力のすごさもあいまって記憶に深く残っているが、“Chim Chim Cher-ee”や“Feed the Birds”の底に流れる哀しさはなんだろうとちょっと不思議に思っていました。なるほどねー。児童文学の傑作「メアリ・ポピンズ」をウォルト・ディズニーが、偏屈・頑固な原作者P.L.トラヴァース夫人を懐柔して映画化にもっていく、その知られざる裏話、とまぁひとことでいうとそういう話なんだけど、あんないろんなことがあったのですねー。
まず、トラヴァース夫人のエマ・トンプスンが良い。最高です。ほんとに美しい女優さんですなー。ウォルト・ディズニーのトム・ハンクスもいつもながら良い味だったけど、おかかえ運転手役にポール・ジアマッテイを配したのも大成功。ディズニー・プロダクションのスタッフたちや子役もすばらしかった・・・・・いや、これはもしかしたら早くも今年のマイベストシネマの予感。感動の1本でした。
ただ、現在と過去が頻繁に交錯するような手法はメンドクサイという人には不向き。50〜60年代のディズニーワールドを知らない若い世代にもほんとのところは分からないかも知れません。

★★★★★ 「メリー・ポピンズ」を観ないでこの映画を観るのは厳禁
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2014年03月19日

ホビット 竜に奪われた王国《映画》

物語が映画などになって映像化されたとき、意外にチャッチくなっていてがっかりすることが多いもの。だけど「ロード オブ ザ リング」から続くこのシリーズは、想像を超えるビジュアルのすごさにいつもビックリしますねー。ピーター・ジャクソン監督、偉い!
ホビットの冒険三部作の2作目。期待を裏切らないテンションでとてもおもしろかった。「指輪物語」の壮大な世界観を目のあたりに観せてくれるのはもちろんのことだけど、各キャラクターの造り込みも素晴らしい。「ロード オブ ザ リング」の“旅の仲間”のひとり、弓の名手レゴラスの再登場もうれしいね。
今回は時間がうまく合わず2Dの方を観たんだけど、噂によると3D版が良かったらしい。そうだろうなー、きっと。
子どもの頃によく観ていた時代劇映画には、いわゆる続きものがたくさんありました。ちょうどいいところで「続く」の字幕がバーンと出るので、ガッカリ感と次の期待感がハンパなかったものだけど、久しぶりにあの感覚がボワっとよみがえった幕切れ。うーむ………完結篇が待ち遠し過ぎる!!

★★★★★ 少なくとも前作は観ていないと面白さは半減
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2014年03月02日

エージェント・ライアン《映画》

このところ陽気がよくなってきたので、床屋さんで横と後を刈り上げてもらったら、さすがに頭が寒い。

CIAの情報分析官ジャック・ライアンが主人公の映画はこれまで4本あって、アレック・ボールドウィンやハリソン・フォードなどが演じていた。多分ほとんど観たと思う。忘れちゃったけど。
生みの親である諜報小説の名手トム・クランシーが昨年他界したということもあるのか、ライアンシリーズの原作の映画化ではなく、設定を受け継いだ新ものです。ライアン役はこのところグッと伸びてきたクリス・パイン。時代設定も9.11以後のことになっていて、全く新しいジャック・ライアン像の創出を図ったということでしょうな。
銃撃戦・カーチェイス・タイムリミット・騙しあい・ちょっとしたラブストーリー・・・・この手の映画に欠かすことのできない定石は全部盛り込まれていたし、それぞれ水準に達していたと思う。なかなかスリリングな展開はけっこう楽しめました。安心して観られるスパイアクションものといって良いでしょうな。
でも観終わったあとになにか物足りなさが残るんだなー。CIAの上司役にケヴィン・コスナー、恋人役にキーラ・ナイトレイ、敵役にはこの映画の監督でもある名優ケネス・ブラナーと、そうそうたる配役陣にもかかわらず、それぞれの人物像にあまり魅力が感じられなかった。主人公はもちろんだけど脇役陣にも、さらには悪役にももっとカリスマ性がないとこういう映画は生きてこないな。監督がブラナーではなく、この手の映画専門の手練の監督さんが撮ったらもっと違ったものになったかもしれません。
噂によるとこれは三部作の一作目らしいので、今後に期待しましょう。

★★★★☆ 完成度は決して低くはないんだが惜しいね(ほんとは3.5ぐらい)
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2014年02月05日

ザ・コール〔緊急通報指令室〕《映画》

アメリカ西海岸、911緊急通報指令室(日本では110番)に助けを求める少女から通報が。少女は誘拐され車のトランクに押し込められて何処かへ連れ去られようとしているのだった。ベテランオペレーターのジョーダン(ハル・ベリー)は、パニックに陥っている少女をなだめ落ち着かせ勇気づかせて車の位置を特定しようと試みるが、プリペイドケータイからの通報なので直ちに発信地域を割り出せない。このままでは少女の命が・・・・・・

面白かったなー。なんて面白い設定なんだ!実はこの緊迫感のハンパないメインストーリーの周囲には細かい多くの布石がちりばめられていて、そのアイデアがすごく生きているんだねー。さまざまなスパイスがうまく効いていて、なかなかみごとなサスペンス映画でした。今でもその美貌は健在のハル・ベリー、主人公の内面を鋭く演じて素晴らしかった。ひさしぶりに見応えのある1本でした。ちょっと風変わりなラストには正直異論があるけど、この映画全体の出来の良さに免じて許される範囲だと思います。

実はこの映画、私のほかにひとりも客がいなかった。貸切、超セレブ状態。こんな贅沢状況は生まれて初めてです。しかもサスペンスというよりはスリラー的な要素の濃い映画だったから、周りに誰もいない暗い空間で独りぼっちで観るのは雰囲気満点。というか、けっこう怖かったよ。

★★★★★ ホラー風味も少し濃い目に混ざっているので要注意
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2014年01月28日

エンダーのゲーム 《映画》

原作はオースン・スコット・カードのSF小説。ネビュラ賞・ヒューゴー賞を受賞した名作らしい。SFはそんなに詳しくないのでこの小説のことは知らなかったな。多分本を読んで一応この世界のことを頭に入れてから観たほうが何倍か面白く観ることができたんじゃないか、という印象。

未来の地球、エイリアンとの戦争が起きて人類は予想される敵の大攻勢に備えて軍備を進めている中、地球を救うリーダーとして運命付けられたひとりの男の子が見出される。その子エンダーはいろいろな試練を経て成長しながら地球軍の総司令官への道を歩みはじめついには・・・・・・

壮大な戦闘シーンや無重力空間バトルトレーニングのシーンはさすがにすばらしいし、宇宙船のセットや衣裳のデザインのセンスも悪くない。視覚効果という意味ではなかなか見せてくれた映画だとは思いますが、こういう映画には欠かせないスケールの大きさが感じられないんだなー。ストーリーの展開も粗いので「よく分からないけどきっとそういうことなんだろうな」と自分を納得させながら観続けることになってちょっとしんどい。天賦の才能を生まれながらに持つ少年の孤独とそこから脱却し成長していく縦糸と、宇宙戦争という横糸がもっとバランスよく織り込まれていたら数段壮大な宇宙ファンタジーになったのではなかろうか。
ハリソン・フォードとベン・キングスレーという名優二人が脇を固めるというので相当の期待感を持って観たわけだけど、残念ながらそこも全くといっていいほど期待はずれ。あー、もったいない!

★★☆☆☆ 気楽にビジュアルな部分だけを楽しむのならそれなりに
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2013年12月28日

永遠の0 《映画》

百田尚樹のべストセラー小説、文庫化された時点で読んでみようかな、と思ったりしたんだけど結局読めなかった。多少邪道的なうしろめたさもあるが映画を鑑賞することに。
なるほど、これは面白い物語ですなー。底に反戦の主張を湛えながら、人間の心の絆と愛、葛藤、血族の不思議を前面に、謎解きの興味も存分に味わえる非常にバランスのとれたエンタテインメントだと思いました。
監督は『ALWAYS』シリーズでその名を挙げた山崎貴、得意のCGでつくり上げられた海戦・空中戦の映像はなかなか凄い。主演の岡田准一の好演もさることながら、橋爪功、山本學、田中泯らの重厚脇役陣がみごとでした。これが遺作の1本となった夏八木勲の存在感を確かめることができたのも嬉しかった。小説の骨子は十分映像化に成功していたのではないかと思います。
ただ、映画の四分の三までは現在と太平洋戦争時とのタイム移行もスムーズで入り込めるんだけど、後半四分の一がちょっとしゃべりすぎの感があったのが残念。もうちょっとギュッと締めてくれれば素直に泣けたと思うんだが・・・・・・。
海軍航空隊で並ぶもののないパイロットだった宮部(岡田准一)は、愛する妻と子のもとに帰るために、卑怯者、臆病者と蔑まれながらも戦時を生き抜こうとする。しかし戦況の悪化とともに自分が教え育てた若者が特攻隊員として先に死んでゆくのに自分は生き残っていることの矛盾。そこから当然わきあがってくる苦悩。それは戦争するということ自体の矛盾でもあります。

★★★★☆
 だんだんきな臭いにおいがしてきた日本、こういう映画はみんなで観ようよ
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2013年12月27日

ゼロ・グラビティ《映画》

ほんとうは字幕版3Dで観たかったんだよね。だけど3D吹替と2D字幕の選択肢しかなかった。ちょっと悩んだ結果、やっぱり3Dで観るべき映画だと決断、いやー正解でしたよ。日本語吹替は字幕を読む神経を使わなくて済むけどその分薄っぺらく感じてしまうのが嫌なんだけど、この作品は絶対3Dで観るべき。
スペースシャトルの船外作業をしている最中に破棄された人工衛星の破片が衝突する事故で飛行士が宇宙空間に放り出される。次第に酸素は無くなってくる。自力移動の手段も無い。NASAとの連絡も全くとれなくなってしまう。全くの絶望の淵から生き残る手段はどこに・・・・・・その極限状況の設定がまず凄い!出演者は女性科学者の飛行士(サンドラ・ブロック)とシャトル船長(ジョージ・クルーニー)の二人だけというのも思い切ったシチュエーション。さらにどうやって撮影したのか不思議でたまらない無重力(ゼログラビティ)空間の再現がまた素晴らしいんだね。脚本・監督はハリー・ポッターシリーズの1本も手がけたアルフォンソ・キュアロン、なかなかやりますな。
DVD化されたものを家でゆっくり・・・・とお考えの方も多かろうが、この作品だけはいけません。もし大画面の3Dテレビがありサラウンドシステムがあったとしても劇場で観る10分の1も楽しめないでしょう。絶対に映画館に足を運んで観るしかない1本である、という意味でも素晴らしい作品といえます。

★★★★★ ある意味3D映画のほんとうの価値が分かる
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2013年12月18日

47RONIN

「忠臣蔵」はこれまで幾度となく映画やドラマになってきた。自分のこどもの頃の記憶でも毎年のようにその映画会社のオールスター映画として公開されたものを何本も観た。今の若い方には分からないかもしれないが、けっこう心の底に精神文化として定着しているんだよね。
年末になって『47』という数字が出ればそりゃぁ赤穂浪士と決まってますよ。それを土台にした映画をハリウッドが作っちゃった、というのがまず驚き。元版にはないカイというキャラクターをキアヌ・リーブスが演じた他はほとんど日本人俳優で、真田広之、柴咲コウ、菊地凛子、浅野忠信とズラリ。
赤穂浅野家と吉良家が隣国同士だったり、この世のモノとは思えない奇妙なモンスターが出てきたり、衣裳のデザインが中国風が入った変てこなものだったりするが、物語の中心的な部分は意外に歪曲されていなかった。でも時代のルールに逆らっても主君の仇を討つことが最も重要なことだった、というあたりはあっちの人たちにも受け入れられるんですかねー?まぁわざわざ映画にしたってことはある程度理解されているということなのかな?
江戸時代の日本を神秘的な異世界として捉え、日本人特有の精神性とファンタジーシネマの要素をドッキングさせようとした非常に変った作品ですが、むしろ、この日本的な題材をハリウッドで映画化しようという気になったということが非常に興味深い。
アメリカ版は全て英語だったらしいが演じた本人たちの日本語吹替で公開。字幕版で観たかったな。

★★★☆☆ あくまでもおそるべき珍品映画として観るべきでしょう
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2013年12月15日

キャプテン・フィリップス

2009年に実際に起きたソマリア沖のアメリカ貨物船に対する海賊の襲撃と人質事件を元に作られた作品。ひとり海賊たちの人質となった恐怖と苦悩の中でそれに耐え、救出されることを最後まで諦めない船長を演じたのは名優トム・ハンクス。監督はアクションサスペンスの傑作「ジェイソン・ボーン」シリーズのポール・グリーングラス。
自称世界の警察アメリカ海軍が鮮やかな救出作戦を展開して、極悪非道のアフリカ人海賊を退治して人質をみごと救出、ラストシーンは軍艦の上で(民間人が軍艦上にいることはありえないけど)愛する家族と抱き合う・・・・・・みたいな映画だとがっかりだったが、これは実はなかなか深い映画でしたねー。
グリーングラス監督だけに作戦実行シーンはサスペンスフルで緊迫感も相当あって非常に面白かったけど、それだけを見せる映画ではありません。
粗末な小型船で命がけで大型のコンテナ船を襲わざるを得ないソマリア沿岸の貧しい人々。対抗する武器のないまま極限のなかで自分と仲間の命を守るために必死で恐怖と戦う貨物船の船長と船員たち。人質拉致という海賊行為には断固厳しい態度を崩さないとはいえ、人質の命を最後の最後まで守り抜こうとする米海軍の苦悩と決断・・・・・・複雑で難しい現実を、虚飾をできるだけ排しながら映画的なテンポを崩すことなく巧みに織り上げてみせた、バランスのよくとれた作品だといえます。
こういう困難な今の時代の哀しみの映画だともいえるでしょう。考えさせられた1本でした。

★★★★★ 大国のプロパガンダに終わっていないのがgood
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2013年11月29日

悪の法則《映画》

原題は“The Counselor”(弁護士)。観る前は邦題も「カウンセラー」でも良いんじゃないのかな?と思ったけど、観てみれば納得のタイトルだったな、「悪の法則」。
ひとりの有能な弁護士が収入に満足せず、仕事で知り合った裏社会の連中と組んでひと儲け企むが、手違いが生じて逆にその組織から執拗に狙われる、という話。監督もリドリー・スコット、予告でも『究極の“悪”は誰?』みたいなキャッチコピーだったからミステリー・サスペンスかと思うけど、実はそんな単純なものじゃなかった。もちろん分類としてはサスペンスなんだが、そのカテゴリーを軸に据えた寓意的で象徴的な作品。リドリー・スコットのひとつの実験映画といっても良いかもしれない。主人公の弁護士(マイケル・ファスベンダー)は最後まで名前が分からない。ただ「カウンセラー」と呼ばれるだけという設定からもそれがうかがえる。
キャメロン・ディアス、ペネロペ・クルス、ブラッド・ピット、ハビエル・バルデムという、オールスター的な配役から派手なエンターテインメントを期待すると、大幅に肩透かしを食らいます。一応の手続きは踏んではいるが、ほとんどのエピソードが唐突にはじまり唐突に終わる。象徴的なものをより強調するために次々と人が死んでいく。ストーリーの一貫性を故意にずらして「歪み」をメインに話は進む。久しぶりにカタルシスの無い映画を観ました。まぁ、人間の業(ごう)について深い考察をしてる映画なんでしょうが、こういう後味の悪さはやっぱり好きじゃないな。

★★☆☆☆ 全くといって良いほど救いがないのはどうも・・・・・
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2013年11月16日

清洲会議《映画》

三谷幸喜監督の第6作。
本能寺の変で信長が討たれ、その首謀者の明智光秀も三日天下に終わったのち、織田家の跡目を巡って重臣が清洲城に参集して虚々実々の駆け引きをする。こういう後継者争いは戦(いくさ)をして決着がついていた戦国時代、幹部の協議でそれを決めた日本史上初めてのできごと、そこには複雑な人間ドラマがあったはず、という三谷の着眼点は鋭いと思う。個人的にはこれまで観た三谷作品の中ではトップです。おもしろかった!
もしこれが某テレビ局の大河ドラマだったら、「こんな重要な歴史の転換点をおちょくるな」的な抗議の電話・メール・FAXが殺到するに違いない。確かに三谷らしいおふざけ(ほとんど悪ふざけ)が満載だからねー。しかし、清洲会議を境に秀吉の天下掌握が加速していくという歴史の流れについてはいささかも揺るがないわけで、コメディーとして割り切った描き方がむしろ潔いのです。三谷幸喜という人の並々ならぬ才能をあますところなく観せてくれた1本だと思います。
出演者がすごい。大泉洋(羽柴秀吉)、役所広司(柴田勝家)、小日向文世(丹羽長秀)、佐藤浩市(池田恒興)の4人の中心人物の配役もみごとだが、それを取り巻くでんでん、鈴木京香、浅野忠信などの布陣もすばらしい。抜擢された若手としては剛力彩芽が眉毛なしお歯黒というメイクでがんばっていた(演技はそう上手いわけじゃないけど)。さらには西田敏行、松山ケンイチ、天海祐希らがほんとのチョイ役で顔を見せる。なんとも贅沢じゃござんせんか?
美術、衣裳、メイクもなかなかのセンス。音楽(荻野清子)もきれいにはまっていて秀逸だった。

★★★★★ このあたりの歴史をざっとでも予習して観るべし
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2013年10月31日

グランドイリュージョン《映画》

こういうマジックとかイリュージョンがメインの映画って作るのが難しいと思う。映画だとCGを使えばどんな大仕掛けのイリュージョンだってできちゃうだろ?という頭がこっちにはあるから、生で実際にマジックを観たときの「え?それってどうやったの?」という純粋な驚きがないんだよねー。
4人の天才的な腕を持つマジシャン・イリュージョニストがチームを組んで、警察・FBIの裏をかき壮大なイリュージョンを繰り広げて見せるというこの映画、確かにトリックの説明とかは一応納得させるものはあるけど「映画だからできるよなー」的な印象になっちゃうのは仕方ないな。(実際CG処理されたシーンはけっこうある)
ストーリーの骨格はなかなかおもしろいと思います。主人公たちが官憲を騙していくと同時に映画を観る私たちも煙にまいていく展開は嫌いじゃありません。次々と繰り広げられる大掛かりなイリュージョンシーンも見応えはありました。ただ、起こってくるいろいろな出来事への動機付けが弱いので、そのぐらいのことでそんなことまでやっちゃうの?という印象が強くなってしまう。最後のどんでん返しも、確かに意外にはちがいないけど、「えー?まさか!」という感じにはならなかった。
マイケル・ケイン、モーガン・フリーマンという大御所二人が出るということで期待したんだが、その存在感を示すところまでいかなかったのも残念。
むしろ天才マジシャンとトリック崩しの名人との攻防をメインにしたほうが絶対面白かったと思うよ。

★★★☆☆ アクション映画と割り切って観ればそれなりに楽しめる
posted by りょうじー at 16:25| 青森 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 完全個人的映画評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年10月03日

エリジウム 《映画》

このブログをお読みいただいている方でベートーヴェンの“第九”経験者の方、ええ、あの“Elysium”のことです。
2157年、人口過剰をストップできなかった地球は富裕層と貧困層に二極化され、金持ち達は「エリジウム」と呼ばれるスペースコロニーで全てが満ち足りた生活、それ以外の人間は総スラム街と化した荒廃の地球で暮らしている、というのが背景。そこで登場するのがこの歪んでしまった世界を変えるべく生まれてきたひとりのヒーロー・・・・・・・まぁ、それほど目新しい近未来SFの筋書きでもないかな?
だけど、監督したのが切り口の新鮮さで大評判になった「第9地区」のニール・ブロムカンプ。あの映画は確かにおもしろかったでしたねー。それに主役のマット・ディモンはさておいても、敵役にあの名女優ジョデイ・フォスターが配されているとなると、こりゃやっぱり期待感あるよ。
確かに風変わりな世界観は魅力的だったし、小道具大道具の造型・デザインはなかなか見応えがありました。細工にこだわるブロムカンプ監督の特徴が十二分に発揮されていたと思う。
ただ今回はちょっと穴が多すぎたなー。この種の映画では物語を運ぶためにはある程度の矛盾は止むを得ない。こっちも面白く観るためにある程度そういうところは目をつぶりながら観るわけなんだけど、あまりにも無理が重なって少しシラけた部分が多かった。「えっ、それもありなの?」というサプライズを楽しむという観かたもあるのかも知れないけど。
確かに、今から150年先にはこんな極端な貧富格差社会はあり得ると思う。今だって勝ち組と負け組の差は相当でかいわけだし。そういう意味では凄く怖い映画ではあります。

★★★☆☆ 細部はいいけど大枠がまとめきれていなかった印象
posted by りょうじー at 14:40| 青森 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 完全個人的映画評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年09月07日

マンオブスティール《映画》

弾丸より早く機関車より強い“超人誕生秘話”です。
USAコミックヒーローもの、いわゆる「ナンタラマン」の劇場版映画はあんまり趣味じゃないのでこれまであんまり観ていない。バットマンシリーズの初期のあたりを観たぐらいかなー。今回もそんなにそそられたわけじゃないんだけど、映画館のシートに座りたい気分がなんとなく濃くなって観てしまった。
クリプトン星出身のクラーク・ケントはどういうわけで地球にいついちゃったのか。そもそもクリプトンってどんな星?なんでデイリープラネットに就職してんの?などなど・・・・・。人が窮地に陥ったときどこからともなく飛んでくるスーパーマンさんのいろんな細かい疑問が解ける映画ということになっているんだけど、元々のコミックではそのへんはまぁどうでもいいことになっていたわけで、けっこう苦労しながらもなんとかかんとかうまいこと辻褄を合わせていましたね。
壮大なアクションシーンはなかなか凄かったな。今回は2Dで観たんだけど(字幕版は2Dしかやってなかった)3Dで観ればさらに大迫力が楽しめたかも知れない。ニューヨークの高層建造物がガンガン破壊されるシーンなんかものすごかったけど、あれじゃ何万人も罪の無い人が死んじゃってるんじゃないのか?主な出演者は運良く(都合よく)助かるって寸法なんだけど、それはちょっとなー・・・・・
それにしても、クリプトン人の実の父親がラッセル・クロウ、地球の育ての両親はケヴィン・コスナーとダイアン・レインという豪華脇役陣はもったいないくらい。その存在感は楽しめます。
音楽はこの手の映画では第一人者のハンス・ジマー。ツボはよく心得てますなー、さすが。

★★★☆☆ あんまり深く考えないで観たほうがいいよね
posted by りょうじー at 22:04| 青森 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 完全個人的映画評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年08月26日

ホワイトハウスダウン《映画》

6月の「エンド・オブ・ホワイトハウス」から3ヶ月もたたないうちに、再びボロボロにやられちゃうホワイトハウス災難映画ですな。世界の中枢を謳うホワイトハウスもいい面の皮です。なんでこの短期間のうちに同工異曲の2作品が発表されたんだろうな。単なる奇妙な偶然なんですかね?
この二つの映画、ざっくりした大筋は同じといっていい。たまたまそこに居合わせた正義漢が、たったひとりでろくな武器も持たないまま、完全武装した複数の敵に敢然と立ち向かっていく。ダイ・ハード/ホワイトハウス版という点で全くいっしょです。もちろんそこに至るシチュエーションは全然異なっていますがね。
鉄壁のセキュリティが確保されているはずのホワイトハウスが占拠されるのには、それ相応のこっちを納得させるだけの仕掛けがなければならないが、そのへん「エンドオブ・・・」よりはクリアー度は高かった。大統領役はジェイミー・フォックス、現大統領のオバマ氏とも重なってよりリアリティーがありました。ローランド・エミリッヒ監督の手腕はさすが。しっかりした時間軸、鮮やかな伏線解決、確かなキャラクタ設定、アクションシーンも見所多し。随所に織り込まれる小技も効いていました。
でもそういう手馴れたつくりが、この国家的(もっと大きくいえば世界的)な大危機作品をあまりに軽くしてしまっているともいえる。その違和感はぬぐえませんな。めでたし×2のラストシーンは、アメリカ映画大体みんな同じで見分けがつかない。固いこといわないで楽しんでくれればOK!というスタンスなんだろうからまぁいいけど。
それにしても、この種の映画のヒーローって、ほとんど奥さんに愛想つかされて家をおん出されていて、だけど子どもはめちゃくちゃ愛している、というパターンなんだよねー。そういう男はかえってカッコイイということなんだろうか。
うーむ、確かにそういうのにちょっと憧れる気持ちもあるなぁ・・・・・・ご、ごめんなさい!(誰に謝ってる?)

★★★★☆ アクション映画としては水準を超えているとは思う
posted by りょうじー at 11:27| 青森 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 完全個人的映画評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年08月22日

ワールドウォーZ《映画》

ほとんど予備知識を持たないで映画を観る主義なので、これまでの“世界戦争”的なイメージでいたのが全く別種のものだったのにまずビックリ。近未来デザスタものだろう、と思い込んでいたけど、これは完全にホラーサスペンス系。新手のバイオハザードというべき映画でしたな。
この頃ちょいちょい出てくる鳥インフルエンザの発生のニュースなんかのことを思うと、この奇想ストーリーにもリアリティがある。科学・医学が発達してきたといっても、人間の未知領域はいまだに広大なわけで、その闇の中からありえないと思われてきた災厄が突如あらわれて、私たちを襲ってくることはこの先絶対あるに違いない。そこで人間の知恵や勇気や決断力や愛やなにかが試される・・・・・・要するにこの映画、けっこう類型的なガチパターン映画だったということです。
そうと覚悟を決めて観れば、それはそれでなかなか楽しめる映画ではあると思う。腕利きの元国連職員の主人公(ブラッド・ピット)がものすごく個人的な活躍で災厄の原因をつきとめていくわけだけど、なんでこの人じゃなきゃいけないのかがよく分からなかったな。まぁこういう映画はほとんどが強引に進められていくものなんで、いちいち気にしちゃいられないけどね。
ブラピよりもその奥さん、最後まで同行するイスラエルの女兵士の二人の女性キャラクタは好きだった。右往左往する男どもよりよっぽど強かったね。
ワールドウォーZの“Z”は、〇ンビの“Z”。

★★★☆☆ 好みからは相当外れる映画だけどまずまず楽しめた気がする 
posted by りょうじー at 10:29| 青森 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 完全個人的映画評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年07月24日

風立ちぬ 《映画》

ジブリ作品で夏休み時期の公開、トトロ・ポニョ系の映画だと勘違いしてこども衆を連れて行っちゃいけませんぜ。夏休みこども向けの映画は他にいっぱいあるから、そっちを選ぶべき。
「風立ちぬ」は完全に大人のためのアニメーション作品です。そして若い人たちよりも年齢のある程度高い層のための映画かもしれない。ネット上で既にたくさんのレビューがありますが、激しい賛否両論です。若者にしてみればこれまでの宮崎駿アニメの世界観とは大きく異なっているから、多分その違和感ははんぱないだろうな。優れた作品であろうことは認めたとしても、期待したエンタテインメントはほとんど無いといっていいからね。
でも我ら団塊世代は宮崎監督がいいたい事はすごく分かる。なぜか私たちの世代は訳も無く飛行機が好きなのよ。宮崎氏のいうとおり「戦闘機は好きだが戦争は嫌い」なのね。そこに論理的な何もないんだけど。恐らくその部分は女性方にも理解し難い部分なんじゃないかな、とも思う。
飛行機設計士である主人公・堀越二郎に、堀辰雄の名作小説「風立ちぬ」を重ねた、はかなく哀しい恋の部分は美しい。青春時代に堀辰雄と矢野綾子、あるいは立原道造と水戸部アサイというあまりに透明な恋愛に限りなく憧れた自分には、すごく懐かしく、またそんな自分がちょっと気恥ずかしい。
もちろん、このアニメーションを制作するために使われた想像を絶する莫大なエネルギーに賛辞を贈ることに躊躇はない。素晴らしいシーンの連続でした。
今回の久石譲の音楽はいまいちインパクトが薄い気がするが、エンディングに流れるユーミンの「ひこうき雲」ですっかりやられてしまいます。

「矛盾」と「葛藤」の映画です。「矛盾」と「葛藤」の中で生きていくのは辛いけれど、でも人間はそれでも生きねば。
・・・・・・風立ちぬ、いざ生きめやも。

★★★★★ カップルで観るのも良いけどあとで意見の相違が出るかもね
posted by りょうじー at 22:05| 青森 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 完全個人的映画評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年07月11日

カルテット《映画》

日本での副題が“人生のオペラハウス”。うーむ、ちょっと意味不明かな。このキャッチコピーにつられて観ちゃうと、少しがっかりするかもな。
イギリスの片田舎にある“ビーチャム・ハウス”は、引退した音楽家たちが余生を送る老人ホーム。ご多分に漏れず財政難で閉鎖の危機。いずれは昔一流どころの演奏家たち、ガラ・コンサートを開催して多方面からの支援をあおごうとしているが、なかなか事はうまく運ばない・・・・・・という筋立てなので、老音楽家たちが立ちはだかる困難を次々と打破して、ついには大成功のコンサートで大団円、という映画なんだろうな、と大体想像はつく。まぁ、大筋はそうなんだけど、老人力が若い者や無理解な人たちを鮮やかにねじ伏せていく痛快な映画をイメージすると(私はそうだった)、これが案外肩透かしなんだな。
そういう映画じゃないんです、これは。もっと穏やかで心優しい映画なのです。どんなに華やかな人生の絶頂期があっても人は必ず老いるし、年が行けば多かれ少なかれ誰でも頑固で偏屈になるもの。はたから見ればそれは実に滑稽で他愛もない。でも、華やかではないけれど、それなりに味わい深いドラマがそこにはあります。飛び切り面白い映画じゃありませんが、ハリウッド映画っぽいところとヨーロッパ映画っぽいところが入り混じった不思議な味わいだったな。
名優ダスティン・ホフマンの初監督作品。マギー・スミスやトム・コートネイなど大名優がずらり。エンドロールで知らされるんだけど、実際に一線を退いた名プレイヤーが多数出演していて、枯れた演奏をチョイチョイ聴かせてくれるのも興味深い。

★★★★☆ なんとなく思い切りが悪いのでスッキリしないところもある(★3.5ぐらいかな?)
posted by りょうじー at 15:05| 青森 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 完全個人的映画評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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