2008年07月03日

ザ・マジックアワー

ナイトクラブ「赤い靴」の支配人の備後(妻夫木聡)は、街のボス・手塩(西田敏行)の情婦・マリ(深津絵里)との密会がばれて制裁を受け命も危ない。手塩が謎の殺し屋・デラ富樫を探していることをふと耳にした備後は、その殺し屋を連れてくるという、あてのない約束をしてその場を逃れるが期限は5日。窮地におちいった備後は、デラ富樫の顔を見た者が誰もいないことを利用して、売れない俳優を映画撮影だとだまし、替え玉にしたてあげることを思いつく。白羽の矢を立てたのは三流役者の村田(佐藤浩市)。暗黒街の影のある男に憧れる村田は、台本も用意されていないその妙な依頼に半信半疑のまま、その街「守加護(すかご)」に連れてこられるのだが・・・

もしこの映画を、ドラマとしてしか観ることができないひとには、そんなに面白くなかったかも知れない。なにもかもつじつまが合わないとサッパリしない、という方にもあまりお薦めできません。

時代に取り残されたような守加護の街のたたずまいは、どう観ても映画のセット
登場人物のファッションや走っている車も20世紀初頭の雰囲気。
それなのに、みんな携帯電話で連絡を取り合っている・・・・・

リアリティーを求める映画じゃありません。「物語は絵空事でも、いかにもリアルに見せなきゃ」という主流からは完全に一線を画している。でも、そこには監督・三谷幸喜の強いこだわりと信念があった、と思う。そうでなければウソくささばかりが目立つ、どうしようもないおチャラケ映画になったところだ。監督の強固な信念を完全に理解して本気で演じている上手い役者たちと、巧みなデレクションと洒落たセンスにあふれた三谷の脚本と演出で、上質のコメディーになっていたと思います。映画そのものに対する限りないレスペクトと愛情に満ちた、大掛かりで贅沢で、それでいてハイセンスな素敵な芝居でした。

先ごろ急逝された名監督・市川昆、昭和の喜劇映画の二枚目役者として欠かせなかった名優・柳澤槇一が出演していたのも嬉しかった。ふつうの映画では到底考えられないカメオ出演者(チョイ出の顔見せ出演者)の数も凄かった。みんなみんな、「映画はいいよねー」という三谷のメッセージ。私はそのメッセージに大きくうなずかざるを得ない。この映画そのものは名作とはいえないかも知れないけど、洋画・邦画を問わず、私たちを楽しませ夢中にさせてきた数々の名画へのとても素直な賛辞と愛情に、少し涙した私でした。

マジックアワー・・・・・太陽が沈みきって、ほんとうの夜になる直前の夢のような一瞬・・・・・

「その日のマジックアワーを見逃したらどうしたら良いと思う?・・・・・次の日を待てばいいのさ」

ああ、なんて素敵なんだ。

★★★★★ 三谷幸喜、恐るべし! 大好きな映画です。
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2008年06月19日

迷子の警察音楽隊

イスラエルの空港で迎えを待っていたのは、エジプトのアレキサンドリア警察音楽隊の8人。水色の制服に身を包み、楽器のケースを抱えた彼らに、なんの手違いか迎えは来ない。伝統的な音楽隊の誇りを重んずる隊長トゥフィークは、大使館に援助を乞うことを恥とし、自力で目的地へ向かうことを決める。
ことばが良く通じないなか、なんとか路線バスに乗ってその町へ到着。だが、そこは名前が良く似た別の場所。もうその日のバスはない。辺境のその町は泊まるホテルもない。困り果てる一行。
それをみかねた、バスを降りたところにある食堂の女主人ディナが、自分の家、食堂、友だちの家に分宿できるようにはからってくれる。
居心地の悪い異国での一夜がはじまる・・・・・


この映画はもうDVDがリリースされているようですな。でも青森ではいま公開中だったので観てきました。タイトルがいいね。「迷子の警察音楽隊」。警察の、それも音楽隊が、あろうことか迷子になる・・・・こりゃ、おもしろそうじゃありませんか。なんとなく、ドタバタ・スッタモンダの人間喜劇が楽しめるような気がしていたんだけど、そのへんはちょっと肩すかし。人間を「笑う」映画ではなくて、人間を「愛おしむ」映画だったんだなー。
大げさなアクションによる表現じゃなく、ほんとにささいなしぐさ、ちょっとした表情の変化で人と人とが結ばれ、あるいは逆に離れてしまうことを描いている。むしろ、ふた昔前くらいの日本映画に通じるものがあるように感じました。出ているどの役者さんも素晴らしかった。あの微妙さ加減はいまどきの映画では、なかなか味わえないものですよ。敵対関係ではないとはいうものの、アラブ圏の警察が突然イスラエルの田舎町に現れること自体、きっとそうとう微妙なことなんじゃないかな。
フレームにどんな絵ができるのかがちゃんと計算されている。いきあたりばったりに撮ったものではないから、いろいろなシーンの印象が鮮明に残ります。

こういう心拍数のゆっくりした映画を観るのは、ほんとにひさしぶり。なんだかホワーンとして良い気分になりました。

★★★★★ いわゆる映画らしい映画
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2008年06月06日

チャーリー・ウィルソンズ・ウォー

品行方正とは言いがたい下院議員チャーリー(トム・ハンクス)、酒好きで女たらしだが、なぜか議会では支持者も多く、実力者として通っている。
出身地テキサスの大富豪セレブのジョアンヌ(ジュリア・ロバーツ)とも友だちを超えた間柄だったが、彼女の依頼はソ連侵攻で苦しむアフガニスタンの人々を救うこと。ジョアンヌに促されてパキスタン国境のアフガン難民キャンプ視察に訪れたチャーリーが目にしたのは、砂漠を埋め尽くす飢餓にあえぐ膨大な数の難民。
政府のおざなりな対応に失望したチャーリーは、自らの権限を最大限に利用して、ソ連をアフガニスタンから撤退させるために奔走する。
変人ながらやり手のCIA職員ガスト(フィリップ・シーモア・ホフマン)とともにひねり出した秘策は・・・・・・・・


トム・ハンクスの映画はまずまずハズレがない。これも映画そのものは面白く観ることができた。なかなかよく考えられた洒落たシーンも多かった。トム・ハンクスの芸達者ぶりも楽しいが、彼の片腕(相棒といってもいいかもしれない)ガストを演じたフィリップ・シーモア・ホフマンがみごと。なんて上手い役者なんだ。
チャーリーの秘書はそれぞれタイプの違うセクシー美女ぞろい、男としては羨望のシチュエーション。なかでも第一秘書ボニー役のエイミー・アダムスがメッチャ可愛かったなー。ただ愛くるしいだけじゃなく、演技もなかなかのものだったと思う。
実話に基づいている、ということだったけど、アフガニスタンからのソ連撤退劇の裏側にはこんなことがあったんだねー。
一応、ラストあたりで「アメリカこそ正義」神話の崩壊を示唆してはいるものの、全体の印象としては「アメリカ人は良いひと・他は悪いひと」映画。それはやっぱり腑に落ちませんな。詳しくはいえませんが、こういうやりかたは正義の味方がやるこっちゃありませんよ。
どうせなら「アメリカの失敗」を、勇気をもって、もっと正面切って描いて欲しかった。こういうコメディーのジャンルでも、きっちり描ききることはできると思うんだけど。

★★★★☆ テーマの扱いかたに問題ありだけどいわゆるできの良い映画ではあります
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2008年05月26日

相棒〜劇場版〜

警視庁特命係の杉下右京と亀山薫は、送りつけられた手紙爆弾で秘書が負傷したことでさらなる危険が予測される片山雛子衆議院議員の護衛任務につく。公務のために空港に向かう片山に仕掛けられた爆弾による攻撃を間一髪防いだ右京と片山だったが、現場に残された奇妙な文字に気づく。右京はその事件の前に起きたニュースキャスター殺人事件現場にも良く似た文字があったことを指摘、連続殺人の可能性を説く。おりしもネット裏サイトにあった謎の「処刑リスト」の存在が発見され・・・・・・・

「相棒」TVシリーズは再放送されていたのをチラ見したことがあるぐらい。印象としてはよくある「○曜サスペンス劇場」系のドラマで、主人公のキャラクター古畑任三郎、ひいては刑事コロンボの流れをくむ新鮮味のあまりないもの、というものしかなかったが、この劇場版はなんだか評判よさそう。サブタイトルも「絶体絶命!42.195km東京ビッグシティマラソン」、3万人のランナーと15万人の観衆をターゲットにした爆破予告、大物俳優もズラリ。観てみてもいいかな?と思っていってきましたが・・・・・・

日本ではないどこかの国の山里の風景から始まる意表をつくオープニング、続いて東京の高層ビル空撮から郊外へと移っていき、徐々に目に入ってくるのはテレビ塔に吊り下げられた無残な死体・・・脈絡のない謎に包まれた滑り出しはなかなか良し!
なんだけど、ストーリーが進むにつれて急激にテンションは下がっていくんだなー。
暗号解読・タイムリミットサスペンス・意外な犯人、さらに現在の日本が抱える民族性の問題まで、これでもかのてんこ盛り、それぞれの小技は悪くは無いんだけど、あまりの詰め込みすぎでぐちゃぐちゃになってしまった。
おまけにラスト近くでお決まりのお涙頂戴人情話でしめくくろうとしたもんだから、「おーい、今までの話はなんだったの?」の大矛盾が一気に出現してしまう。
すごくがんばった作品だとは思う。テンポもなかなかいいし、ミステリー&サスペンス日本映画としては健闘したほうだとは思うけど、興趣がそがれる余計な部分が多すぎた・・・残念!
「看板に偽りあり」くさいのもダメよ。

★★★☆☆ がんばりの部分は認めたい それがなかったら★ひとつ
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2008年05月20日

ミスト

アメリカの田舎町、映画ポスター用の絵を描く画家、デヴィッドは前夜の激しい嵐で電気や通信手段が混乱していることから、食料品などの買出しに息子ビリーとともに町のスーパーマーケットへ。パトカーや消防車がサイレンを鳴らしてあちこちを走り回り、軍隊らしき車列もどこかに急いでいる。不安にかられながらも、同様の考えを持つ町の住人で混雑するスーパーで買物をする。
いつしか海からはいのぼってきた濃霧が瞬く間に町全体を多い尽くしたかと思うと、地震のような衝撃がスーパーの建物を揺らす。パニックにおちいる買物客とスーパーの従業員たち。そして彼らとデヴィッドが見たのは、外から叫びながら走ってくる血を流したひとりの男。「霧のなかになにかがいる!なにか恐ろしいものが・・・・・・」


ここんとこモンスター・パニック映画づいております。この映画も敬遠しておこうかな、と思わないでもなかったんだけど、スティーヴン・キングの原作でしかも監督があの「ショーシャンクの空に」「グリーンマイル」のフランク・ダラボン、この手の話をどう映像化して観せてくれるかな、という期待の気持ちが勝って観てきた。
正体不明だが確実に人間の力では太刀打ちできないものを前に、密室と化したスーパーマーケット内で起こるさまざまな人間模様。恐怖と焦燥からさらけだされる人間の愚かしさ。だが、常識でははかれない状況下では、なにが正しいのか、なにが間違っているのかの判断基準は誰にも分からない。はじめは誰からも鼻つまみだった、常軌を逸した狂信者(名女優マーシャ・ゲイ・ハーデンが好演)の、普段ならたわごととしか受け取られない説教にも次第に傾いてしまう人間。
まるで舞台の芝居を観るような群像劇は面白かった。
むしろそこに力をもっと集中して欲しかったな。お決まりの対モンスターアクションも必要だったとは思うけど、そこにどんな珍しい怪物がでてきたって、どっかで観たなー、という印象でしかないわけだからねー。ちょっと中途半端だったと思う。
衝撃の結末は確かにすごい衝撃だった。
映画に騙されたり、どんでん返しで驚かされたりするのは嫌いじゃありません。むしろそこに快感を求めていることが多い私です。
だけどねー、このエンディングはないんじゃないの?確かに意表はつかれました。意表はつかれたけど納得はできんな。
人間の不安定な心について考えさせられた、ということは確かにあるけど・・・・・・

★★★☆☆ 映画自体はよくできていたと思うけど、やっぱり好きになれない
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2008年05月01日

クローバーフィールド

ニューヨークの高級アパートの1室、東京支社へ副社長として栄転の決まったロブのためのサプライズ・パーティーが開かれている。ロブの兄ジェイソンは恋人のリリーとともに考えたそのプランの一部始終を家庭用ビデオで撮影していたが、パーティーが始まるとその役目を友人ハッドに任せる。最初は困ったハッドだがやがてその記録係の役目に夢中になり、みんなに半ばあきれられながらも写し続ける。やがてロブが現れパーティーが最高潮になったその時、ものすごい衝撃が建物を襲い、部屋はパニックに。屋上に上がって彼らが目撃したのは爆発の閃光。先を争って外に非難するが、轟音とともに空から降ってきたのはなんと、ひきちぎられた自由の女神像の頭部だった・・・・・

公開前、厳重に封印されて詳細が知らされず、ただ宣伝ポスターの首のない自由の女神の衝撃的なカットが話題になった問題作。予告編もきわめて断片的でなにがなんだかわからない。そそられることはそそられるけど、これでダメ映画だったらそのぶん大損感は倍加するわけだし、チラチラと目にしたレビューもあんまり良い話がない。うーん、観ないで済まそうか、と思っていたんだけど、今回諸事情が重なって観ることに・・・・・
大変お見それいたしました。(おじぎ、深々)

この映画、車酔いに似た症状で気分が悪くなるかも知れないよ!という警告がされている。それは全編手持ちカメラの映像で、始終揺れたり、ひっくり返ったり、ブレブレになったりするから。そういうのに弱い方は全然楽しめないから敬遠したほうが良い。
日本公開からひと月近くたっているので、はっきり言いましょう!この映画は「ゴジラ」なのよ。大都市をあり得ない巨大ななにかが突然襲う、その時その場の人間はどうなっちゃうのか、そのなかのひとりがハンディ・カムを持っていてその恐怖の一部始終を撮影し、それが奇跡的に残っていてその映像を見ることができるとしたら・・・・というとんでもない映画なのね。
私はこどもの頃、夕暮れの岸壁とかに行って遠くの市街地をながめ、その頃だから高いビルなんかなかったけど、ちょっとシルエットになりかかった家々の真ん中から、突然ゴジラがグワーッとたちあがる絵をよく夢想したものです。ゴジラが邪魔なものを次々破壊しながらこっちに近づいてきたら、どっちへ逃げよう、なんて真剣に考えていた。この映画を観てそれを思い出しましたね。第三者の目(つまり普通の映画のカメラの視点)で見た光景ではなく、その恐怖極限の人間の視点からパニック状態を捉えて見せる。これはすぐれものですよ。よく考えついたなー。
カタルシスがない、観客置き去り、ストーリーはどこ?・・・などの批評もよく分かる。だけどこれはそういう映画なのよ。そういうところを全部おさえた映画だったら、それはごくつまらない怪獣ものにしかならなかったってことだからねー。

この手はもう二度と使えない。でもそういう意味でもポイント高いと思うよ。

★★★★★ 人によっては大嫌いかも知れない
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2008年04月21日

ブラック・サイト

FBI捜査官ジェニファー・マーシュ(ダイアン・レイン)は、急増するネット犯罪を取り締まるチームの一員。違法なサイトやネット詐欺を見つけ出し摘発する日常だった。
ふと目に留まったのは、猫の虐待をライブ映像で見せるサイト。仕事に追われてその奇怪なサイトを放置していたジェニファーだったが、数日後、そのサイトにひとりの男が拘禁され血を流している映像が配信される。しかも、そのサイトへのアクセス数に比例して薬物の投与量が増加し、死にいたらしめるという前例のない悪質なものだったのだ。天才的な頭脳の犯人は、巧妙な手口で発信元を特定できないように操作しているらしい。なすすべもないジェニファーたち捜査員の苦悩をよそに、アッという間に世界中のネットからネットへ噂はひろがり、アクセス数は増えていく・・・・・・・


この女性FBI捜査官というシチュエーションはけっこう好きなんだな。なんかこうキリッとした感じがいいねー。「羊たちの沈黙」のジョディ・フォスター演じるクラリス・スターリング捜査官は今でも強烈な印象が残っているが、同役を「ハンニバル」で演じたジュリアン・ムーアもかっこよかった。
今回はダイアン・レイン、前はあまり好きな女優さんではなかったけど、この映画で惚れてしまいました。年はとりました。しわは深くなったし、肌のたるみも年相応に出てきちゃってます。だけど、そういうあたりが全てこの役の裏打ちになっていて、魅力的な女性像になっている。美しかった。夫を亡くし、ひとり娘を育てながら、FBI捜査官というタイトな仕事をこなす・・・強い正義感、タフな意志を持ちながらも、女性ならではのあやうさを同時に見せて好演でした。
ストーリー上、残酷シーンは避けられないが、ジャンルとしてはサスペンスサプライズは無いものの、随所に置かれたちょっとした仕掛けがスパイシーです。暗めの色調にクリストファー・ヤングの不気味な音楽もいい雰囲気。ホラー好き、ミステリー好きにはどっちつかずの物足りなさを感じるひともあると思うが、私はそれはそれでなかなかのグッド・バランスだったと思うよ。

★★★★★ 女捜査官ジェニファー・マーシュシリーズも良いんじゃないか? 
posted by りょうじー at 21:37| 青森 ????| Comment(0) | TrackBack(0) | 完全個人的映画評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年03月24日

バンテージ・ポイント

スペインの町サラマンカ、テロ撲滅のサミット開催を成功させたアメリカ大統領(ウィリアム・ハート)は、広場をうずめる群集に向かって成功を祝う演説をすることになっていた。厳戒態勢の広場で大統領の車からともに降り立ったのは、ベテランシークレットサービスのバーンズ(デニス・クエイド)、同僚とともに油断なく周囲に目を配っていた。
歴史的な演説を全世界に送るためのテレビ中継車のなかでは、責任者のレックス(シガーニー・ウィーバー)がレポーターやカメラマンに次々と指示を出していたが、大統領が演壇に立った瞬間、モニターに信じられない光景を見る。大統領が狙撃され、さらに爆発が起きるという、あってはならない惨状がそこに映し出されたのだ。
バーンズは大混乱の広場で全てを撮影していたと見られるアメリカ人旅行者(フォレスト・ウィッテカー)を発見し、そのビデオカメラの録画を見て思わず息を飲む・・・・・・・


ひとつの大事件を目撃する8人。異なる八つの視点。映画はあたかもビデオを巻き戻すように、それぞれの視点から見た同時におこっていたできごとを、順に映し出す。そして視点が変わるごとに少しずつ真実が見えてきて、ジグソウパズルの断片がピタリピタリとはまっていくたびに、思いもかけない驚愕の真相が姿をあらわす・・・・・
いやー、面白かった!私の大好きなタイプの映画です。
こういうのはやっぱり映画ならでは。小説などではなかなか味わえない種類の楽しみだと思うよ。
アクションシーンは、いまどき目新しいものじゃかったな。けっこう常套的なところが多かった。もうちょっと新しいアイデアがあれば、さらに面白さが倍加したと思うんだけど。
演技の確かな俳優さんがズラリと揃って壮観、この映画をとても力あるものにしていました。

★★★★☆ 「アメリカこそ正義」映画という部分でやっぱり減点
posted by りょうじー at 23:07| 青森 ?J| Comment(0) | TrackBack(0) | 完全個人的映画評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年03月08日

ライラの冒険 黄金の羅針盤

物語の舞台は我々の住む世界に良く似ているが、多くの点で異なるもうひとつの世界。その異世界のオックスフォードジョーダン学寮の生徒ライラ・ベラクア(ダコタ・ブルー・リチャーズ)は勝気なお転婆娘。ふとしたことから叔父のアスリエル卿(ダニエル・クレイグ)の発見したこの世界の秘密の一部を知る。しかしそれは、この世界を牛耳る“教権”一派にとってはどうやら都合の悪いことらしい。
おりしも周囲のこどもたちがひそかに拉致されているという噂が流れ、彼女の親友ロジャーも誘拐されるという事件が起きる。
学寮長から真実を知ることができる「黄金の羅針盤」を託されたライラは、この世界の実力者、コールター夫人(ニコル・キッドマン)にともなわれ、こどもたちを救い、陰謀を暴くために北極への旅を決意するのだが・・・・・・


はじまりはゴシック風の古い学生寮、主人公は寮生の女の子、え?これってハリー・ポッターの女子版なの?というような感じがするけど、実は全然違います。壮大な世界観を持ったファンタジー巨編です。
あの「ロード・オブ・ザ・リング」を手がけたニューライン・シネマが製作しているだけに、いろいろなシーンは「ロード・オブ・・・」を彷彿とさせるが、むしろ「スター・ウォーズ」に近い輪郭を持っていると思ったな。だから「世界観」というよりも「宇宙観」というほうが近い物語。しかも見かけが私たちの住んでいる世界と同じなのに、その「宇宙観」に即した数々の魅力的な違い。例えば、そこに住む人間ひとりひとりに「守護精霊」の動物がいて、しかもそれは目に見える、つまり存在しているのね。いわば自分の魂にあたる部分が切っても切れない存在として肉体の外にあり行動を共にする、なんていうのはすごく素敵じゃありませんか。

長大な原作を2時間の映画に凝縮するのは並大抵じゃありません。はしょり過ぎ!の批判もあるようだけど、やむをえないのじゃないかな。私は「よくやった!」と拍手したいと思うよ。(無理やり納得させられてしまう部分がけっこうあるのは確かだがね・・・)
予告編なんかでライラが白熊の背中に乗って疾駆するシーンなんかがあるから、お子様ファンタジーみたいに思ってしまうけど、実際は大人向けの話なんだな。難しい言葉もたくさん出てくるし、話自体も相当入り組んでいる。あの熊の名前だってイオレク・バーニソンだぞ!プーさんとかじゃないんだぜ。あ、関係ないかもしれんが・・・・

ダニエル・クレイグ、サム・エリオットの存在感はいうまでもないが、声だけの出演にもイアン・マッケランやクリスティン・スコットトーマスが名を連ねているのが凄いねー。
なんといっても、ニコル・キッドマン、魔女役のエヴァ・グリーンの当代きっての美女ふたり。綺麗だねー。いやー、ぜいたくですよ、ほんとに。
さすが1万5千人の中から選ばれた主役のダコタちゃん、あどけなさと大人のまなざしが入り混じる不思議な魅力は、一見の価値あり。

★★★★★ 次回作もすごく楽しみ!
posted by りょうじー at 22:07| 青森 ????| Comment(2) | TrackBack(0) | 完全個人的映画評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月29日

歓喜の歌

ある町の文化会館の事務室は、町の職員のふきだまりと陰口をたたかれるさえない職場。そこの主任、飯塚(小林薫)はなにごとにも適当、周囲に調子よく合わせることで日を過ごすダメ男。年の瀬、いつものように何事も無くその年を終わろうとしていたとき、思いもかけない大事件が発生する。大晦日に演奏会を企画していた町のふたつのママさんコーラスのグループが同じ時間にホールを予約していたのを、うっかりダブルブッキングしてしまっていたのだ。しかもそれが判明したのが前日の30日。「公演時間をずらせば・・・」「ゆずったほうのグループは料金をタダに・・・・」。安易にノラリクラリとかわすことだけを考えていた飯塚だったが、事は彼が考えるほど簡単ではなかった・・・・・・・

やっと観たよ、「歓喜の歌」。合唱人としては一応おさえとかなきゃ、と思って観たのでしたが・・・・・

いや、なかなか良い映画でした。ツッコミどころは山ほどあります。「そんなことはあり得ません!」と言い切れるところもいっぱいある。でもね、そんなことを言い出したらそもそも成り立たない話なわけだから、あんまりゴチャゴチャ言わないで、心温まるストーリー運びと、人間の可笑しさを楽しめればそれで良いんです、こういうものは。
実際、合唱人の変なところや公立のホールの事務室の風景はけっこうリアルだったし、一生懸命「人間」を描き出そうという試みはある程度成功していた。ちりばめられたエピソードもよく考えられていて、つながりぐあいも悪くなかったと思う。ただ、それぞれのエピソードのオチが甘いからちょっとご都合主義的なところが出てしまったのが残念。
だけど、日本的な人情話とハリウッド風喜劇がうまくミックスされた感じは好きだったな。なかなか無いよねー、こういう雰囲気の映画。日本映画のひとつの道筋を示す映画だった、といえるかも知れません。
この映画のもとは、立川志の輔の創作落語。さすが志の輔師匠、目の付け所が鋭い!

一方の合唱団の指揮者役の安田成美、少々年取ったけど相変わらず可愛いねー。チョッキリ切った前髪が素敵でした。指揮も妙にとってつけたような振りかたじゃなく、すごく自然で上手かったと思うよ。

★★★★☆ あと少し詰めのシャープさがあれば極上になったと思う
posted by りょうじー at 00:04| 青森 ????| Comment(3) | TrackBack(0) | 完全個人的映画評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月19日

アメリカン・ギャングスター

1968年、ニューヨークのハーレムを仕切るボス、バーピーが心臓発作で突然世を去ったあと、片腕のフランク(デンゼル・ワシントン)は優れたアイデアと冷徹非情なやり方で次々とライバルを排除、泥沼と化したベトナム戦争のアメリカ軍の退廃を利用して良質の麻薬を東南アジアから入手したフランクは、麻薬売買を通して次第にニューヨーク裏社会での勢力を拡大していた。
一方、ニュージャージーの警官リッチー(ラッセル・クロウ)は、自らの離婚・こどもの養育権で裁判を争いながらも、司法試験のための勉強にも精を出している変わり者。張り込み捜査で発見したギャングの資金100万ドルを、正直に署に持ち帰り申告したことで警官仲間から白眼視さてしまう。当時の警察社会のなかでは、証拠品の横流しや隠匿、裏社会からの収賄は暗黙の常識だったのだ。
その一本気を買われ、麻薬捜査班のリーダーを命じられたリッチーは、麻薬組織の壊滅と警察内部の腐敗の根絶をめざす。マフィアにさえ一目置かれるようになったフランクとの距離は次第に縮まっていく・・・・・・・


アメリカン・ギャングスター」・・・カタカナで書かれちゃうと、なんだか軽いイメージだよねー。単なるハリウッド版ヤクザ抗争映画、と早とちりしたむきもあるかも知れないが、実はそんなフワフワしたもんじゃありません。2時間40分、長くて重い映画でした。
監督がリドリー・スコット、デンゼル・ワシントンとラッセル・クロウのふたりの名優の丁々発止の熱演をみごとにひき出して見せた。たいしたものです。
ラッセル・クロウ、基本的にダメ男のくせに一本すじが通っているという、なんとも屈折した役をみごとに演じていました。スッキリ・パッチリのカッコ良さげなヒーロー役よりも、絶対こっちの役どころが似合ってると思うよ、ラッセル・クロウは。
デンゼル・ワシントンの存在感もいつになくググッとこっちに迫ってくる。素晴らしい演技でした。このふたりの渾身の演技を観るだけでも十分価値がある映画だと思います。
ただ、こういう映画でいつも感じることだけど、暴力肯定のにおいがするのがちょっとなー・・・・それが普通なんだよ、という感じがどうしても好きになれんな。

★★★★☆ 映画としては面白い。だけど暴力反対!
posted by りょうじー at 22:52| 青森 ????| Comment(0) | TrackBack(0) | 完全個人的映画評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年01月29日

スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師

19世紀ロンドン、暗鬱な街へひとりの男が戻ってくる。かつて腕の良い理髪師として妻子とともに平穏で幸せな暮らしをしていたベンジャミン・バーカー(ジョニー・デップ)。
彼の美貌の妻に横恋慕したターピン判事(アラン・リックマン)によって卑劣な罠にかかり無実の罪で牢獄に囚われの身となっていたのだが、15年後脱獄を果たしたバーカーは、判事への復讐と妻と成長した娘の救出のためにフリート街へ帰ってきたのだ。かつての彼の店はミート・パイを扱う店となっていたが、オーナーのミセス・ラベット(ヘレン・ボナム・カーター)から妻と娘の15年間の不幸を聞き出す。
「やっぱり、あなたはベンジャミン・バーカーなのね?」と聞かれ「いや俺の名はスウィーニー・トッド、別人となって復讐を果たすのだ!」と言い放つバーカー。久しぶりに手にした剃刀の刃に映った彼の眼には憤怒の炎がメラメラと燃える・・・・・・


ティム・バートン監督・ジョニー・デップコンビの映画ですからなー、一筋縄じゃいかんだろうと予想はしておりましたが・・・・・うーん、はっきり言って私は評価できません。
ネットでこの映画についてのレビューをパラパラ見ると、とっても評判いいのね。けっこう好きな人が多い。確かに丁寧な映画づくりだったし、映像美という点では圧倒的なものがあった。音楽もさすが。ジョニー・デップも歌がなかなか上手かった。
でもなー、こういう陰惨な復讐話をミュージカルに仕立てる必要性が第一あるんだろうか。まず、そこにすごい違和感を覚える。そのうえ舞台ではバッと暗転になるかなんかして、これはお芝居なんですよ、と観てるほうの想像に任せられるシーンが、映画ではモロリアルになるわけだからねー。その必要性に個人的にとても疑問を持ちました。むしろ、この映画がこんなにも絶賛されることに怖さを感じます。(ゴールデングローブ賞をこないだ獲ったけど)
ストーリー上、アラン・リックマン演ずる(演技も歌もすてきでしたが)判事が悪役なんだけど、主役のスウィーニー・トッド(またも出ました白塗りデップ)のほうが百倍怖くて人でなしなわけよ。あんなにひどいことされたんだからあれぐらいの仕返しはやっとかないとなー、というのは違うんじゃないか?
そこの非日常というか、落差みたいなところが評価されているのだと思うけど、このごろ頻発している、恐ろしい事件の数々を考えると「あれは映画だよ、映画!」と片付けられないと思うんだけどなー・・・・・

★★☆☆☆ 私ははっきりいって嫌い!
posted by りょうじー at 22:31| 青森 ??| Comment(0) | TrackBack(0) | 完全個人的映画評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年01月09日

魍魎の匣

昭和27年東京、霊感で事件を解決すると評判の探偵榎木津(阿部寛)のもとにきた奇妙な依頼。往年の美人女優柚木陽子(黒木瞳)の娘が行方不明だというのだが、それは誘拐で誰が連れ去ったのかはわかっている、と陽子は言う。いぶかりながらも事件に引き込まれる榎木津。
おりしも東京では連続少女行方不明があり、しかもその少女らと思われるバラバラに切断された手足がハコ詰めになった状態で発見されるという、奇怪な事件が世間を騒がせていた。大衆小説家の関口(椎名桔平)もいつのまにかその渦中に入り込み、怪しげな新興宗教「おんばこさま」とのかかわりを調べるために、陰陽師の古書店主京極堂(堤真一)のもとへ。事件を追ううちにそこにたどりついた榎木津とともに、三人は不可思議な世界へと足を踏み入れていく・・・・・・


だいぶ前に原作は読んでます。でもほとんど忘れちゃってる。映画観ても思い出せない。「そういわれれば、そういうことかなー?」程度。なにしろ京極夏彦の原作本は新書判で厚さが5センチぐらいあってその分量だけで圧倒されてしまううえに、話がすごく複雑に入り組んでいるだけでなく、文体がぺダンチックですこぶる読みにくい。面白い小説なんだけど「要するに・・・どういうこと?」みたいなことの連続なので結局覚えていないんだなー。
映像化不可能と思われたこの原作を、どういう風な映画に仕立てたのかに興味をもって観たのですが・・・・・・意外に良かったですねー!
最初はなにがなんだかゴチャゴチャとしていて、「え、こりゃついていけないんじゃないか?」という不安がよぎるが、混沌としていたものが次第に符合し形をあらわしてくる中盤以降はなかなかです。
役者さんたちもそれぞれの役柄を好演していた(なかでも宮藤官九郎の不気味は特筆モノ)し、少し違和感があるものの上海ロケにその雰囲気を求めた戦後まもなくの日本の感じも良く出ていた。原作のもつれにもつれた謎を、切り捨てる部分は切り捨てて分かりやすく観せていたという点では、ほとんどベストに近い処理だったといえると思います。
しかし、江戸川乱歩、小栗虫太郎、横溝正史と連綿とつながる日本猟奇探偵小説の系譜につながる京極ワールド、暗鬱として陰惨、奇怪にして狂気でありながら、独特の光を放つ異常の美学にまでは到達していなかった。
おっと、いつのまにか京極夏彦風になってしまった。

★★★★☆ 映画として上出来、なかなか天晴れ!
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2008年01月05日

ナショナル・トレジャー −リンカーン暗殺者の日記

今も数々の謎が残るリンカーン大統領暗殺事件、トレジャーハンターのベン(ニコラス・ケイジ)が、祖先にあたるトーマス・ゲイツがその夜ある秘密を守るために暗殺者の一味に射殺されたことを父(ジョン・ボイト)とともに発表していた場に、ウィルキンソンと名乗る男(エド・ハリス)が突然現れ、失われたと考えられていた暗殺者の日記の一部を提示し、トーマス・ゲイツこそが暗殺者の仲間だったと告げる。
ゲイツ家の名誉を守るためにその日記の謎を解き無実を晴らそうとするベンの前に徐々に姿を現してきたのは、歴史の裏側に隠された驚愕の真実だった・・・・・・・


一作目の「ナショナル・トレジャー」も観てます。観てるんだけどほとんど忘れちゃってる。全然思い出せない映画というのも珍しいなー。すごくつまらない映画だったのか、というとそうでもないんだけど、あまりにスピードが速くてハチャメチャ過ぎだったので、記憶にしまいきれなかったんだな、きっと。(ただ単に記憶力が衰えたという説もある)
もちろんこれも滅茶苦茶ジェットコースター・ムービー、置いていかれないように必死に食い下がって観るうちにいつの間にか大団円。後から考えれば疑問続出だけど、観ている最中には細かいことまで考える余裕が無いのね。その瞬間「え?」と思わないわけじゃないが、即すっとんでしまう。
それにしても豪華配役。父親役のジョン・ボイト、相方役のダイアン・クルーガーのレギュラー陣も健在だが、憎たらしい敵役にエド・ハリス、訳ありFBI捜査官ハーヴェイ・カイテル、おまけにベンの母親役として英国の名女優へレン・ミレンまで登場する。それぞれが圧倒的な存在感でした。(映画としてのバランスを崩していたともいえるが)
まぁ、めんどくさいことを考えずに、ただただ乗っけられて観る映画もたまには良いと思うよ。乗っかろうとこっちが思っていても、乗れないままの映画だってあるわけなんだし。

★★★☆☆ 第一作よりは面白かった気がする
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2007年12月29日

映画総括2007

今年観た映画を振り返るとアクション娯楽映画が多かったなー。例年その手の映画のパーセンテージは多いんだけど、今年は特に多い。もっとおさえるべき映画はおさえておかないといかん!と反省するわけだけど、そっち方面は子どもの頃から好きなもんでねー、どうしても足が向いてしまう。来年は少し軌道修正をしていろんなジャンルの映画を観ることにしたいと思っています。

映画館に足を運んで観た映画は合計27本、けっこう観たな。でも「今年はこの1本!」みたいな作品には結局今年はあたらなかった。その代わり「ああ、損した」映画もすくなかったが、期待したわりにあまりにガッカリだったのは「墨攻」。中国戦国武功ものって荒唐無稽だけどそれなりにそこそこ観られるのが多いけど、これはちょっとひど過ぎ。アカデミー賞などで評判の高かった「ディパーテッド」「バベル」もそれほど良いと思えなかった。どちらも監督さんのひとりよがりが感じられてちょっといやらしい気がしました。
シリーズもの、続きものも今年は多かった。「パイレーツ・オブ・・・・」「ダイハード」「オーシャンズ」はどうしても第一作のイメージが強すぎるせいか、もうひとつカタルシスが無かったが、007シリーズ「カジノ・ロワイヤル」、ハンニバルシリーズのエピソード1ともいうべき「ハンニバルライジング」、それにジェイソン・ボーンシリーズ完結作「ボーン・アルティメイタム」は水準を超えていたと思います。力のある映画だったね。
ちょっと無理やりだけど、マイベストを1本あげるとすれば、秋に観た「ブレイブワン」。賛否両論の映画だと思うが、サスペンスでありながら人間の心の深い部分を描いてみせた傑作だと思います。やっぱり主演のジョディ・フォスターが最高!凄い女優さんだよなー。
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2007年12月25日

アイアムレジェンド

2012年アメリカウイルスの遺伝子操作によって癌を完全に消滅させる画期的な治療法が開発される。それは癌に対する人間の決定的な勝利となるはずだったのだが・・・・・・

3年後のニューヨーク、荒廃した無人の街並と置きさられた車群の中を一台の真っ赤なスポーツカーが駆け抜ける。運転しているのは元アメリカン軍中尉で軍医、ウイルス学者のロバート・ネヴィル(ウィル・スミス)。愛犬サムとともに銃を傍らに置いて、食糧を得るために野性化した鹿を狩っているのだ。彼らのほかには完全に人の気配の無いニューヨーク。一体何が起きたのだろうか・・・・・・
やがて日暮れが近づき腕時計の警告音が不気味に鳴る。ネヴィルはなにもかも諦めて周りを神経質に警戒しながら猛然と家へ帰り着くと、全ての出入り口と窓を厳重に塞ぐ。何かが襲ってくるのを恐れるように・・・・・・


こういう映画はね、「そこは納得いきませんな」とか「どうしてこっちはこうなのに、あっちはああなの?」とか言いはじめたらキリがない。このあり得ないシチュエーションを最初っから丸ごと飲み込んだうえで「分かった!そういうことなんだな」とドンと胸をたたいて観なきゃいけません。そうでないと、すごく損したような気分になるかも知れない。生まれつき几帳面でいろんなことがピタッと収まらないと気が済まないあなたは観ないほうがよろし!
もちろんあまりに穴ボコばっかりが目だって、集中できないまま終わっちゃう映画もあります。でもこれはなかなか良くできていると思う。三年前に時々戻るフラッシュバックも程よく断片的なのがかえってミステリー感を煽って好いし、小技もきちっと計算されているので効果的。
ほとんどひとり芝居のウィル・スミスは熱演!ブラボーものです。
そして忘れちゃいけないのが相方のサム。このシェパード犬の名演技は助演女優賞(確かサマンサと呼んでいたのでたぶんメス)やってもいい。脱帽です。
そこらへんがとてもうまく絡まっていたので、私はずいぶん楽しく観ることができた。おおいに面白ござんしたね。

※SFホラー(スプラッタといってもいい)のジャンルなので、そっち方面苦手な方は要注意!

★★★★★ 完成度が高い映画だと思う
posted by りょうじー at 22:24| 青森 ????| Comment(0) | TrackBack(0) | 完全個人的映画評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月01日

ボーン・アルティメィタム

記憶を失い世界中をさまよう元CIAの「暗殺」担当官ジェイソン・ボーン(マット・デイモン)、悪夢の中で忌まわしい記憶が少しずつ甦りつつある。極秘の計画を明るみに出したくないCIAの執拗な追撃を間一髪のところでくぐりぬけてきたボーン、自分は一体何者なのか?を知るために危険を承知でヨーロッパ各地を転々としていた。
CIAに慎重に隠された極秘計画があることを嗅ぎつけたロンドンの新聞記者ロスは、情報を収集し徐々に核心に迫っていた。そのことを知ったボーンはロスに接触を試みるが、同時に動きはじめたCIAは一挙に二人を抹殺しようと武装した係官とともに敏腕の「暗殺」担当官を急行させる・・・・・・・


「ボーン・アイデンティティー」で始まったこのシリーズ、細かいところは忘れてしまったが、この一作目がベラボーに面白かったことは記憶している。街の雑踏にまぎれると普通人にしか見えないが、自分の身に危機が迫ると俄然能力を発揮して敵を倒す、ちょっとみボサっとしたイメージのマット・デイモンはハマリ役、というか、もう彼以外にジェイソン・ボーンを演ずる役者さんは考えられないくらいですな。二作目の「ボーン・スプレマシー」、そして完結編の今回と、それぞれ好い味出していました。
我々観客には少しずつ小出しにされてきたボーンの過去とCIAの企み、それがこの完結作で一気に明かされる・・・・・期待しないわけにはいかないじゃありませんか。まぁ、正直言ってしまうと、用意された結末そのものはビックリするほどの意外性はないんだけど、ボーンの「自分を探す旅」がいよいよ終わるのか、と思えば感慨もひとしお。前2作を観ている人は絶対観るべき!
高いところ、低いところ、手持ちカメラやヘリからの撮影などを駆使していろいろな視点(けっこうすごい数)から、アクションを同時進行で観せていく、ポール・グリーングラス監督、おぬし、やるな!
悪役に配された名優アルバート・フィニーやデヴィッド・ストラザーンの存在感も見逃せない。
ジョン・パウエルの音楽、これがまたカッコイイ。

★★★★★ アクション通・ミステリー通、どちらも唸らせます
posted by りょうじー at 11:56| 青森 ????| Comment(0) | TrackBack(0) | 完全個人的映画評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年11月23日

ディスタービア

父と一緒に川釣りを楽しんだ高校生ケール、帰り道で不運な交通事故に遭い、その最愛の父を亡くしてしまう。そのことが心の傷となり学校生活にも身が入らないケールは、教師への暴行事件を起こしてしまい、裁判で自宅謹慎処分が下される。足首に取り付けられた監視システムで自宅から半径30メートル以内に三ヶ月間とどまらなければならなくなって、さらに自堕落な生活におちいるケール。ふとしたことで見つけた退屈しのぎは「覗き」。隣に越してきた一家のキュートな娘の水着姿などをこっそり盗み見したりしているうちに、裏に住むひとり暮らしの男の不審な行動が気にかかる。おりしも若い女性の連続行方不明事件がテレビニュースに流れ・・・・・・

チラシ・ポスターや予告編なんかでは、なんだか変態映画みたいな印象があるけど、けっこうちゃんとしたスリラーです。
ヒチコックの名作「裏窓」のトリビュート。骨子だけでいうとほとんどリメイクといっていい。「裏窓」では足を骨折したプロカメラマン(ジェームズ・スチュアート)が身動き取れない環境でむかいのアパートを望遠レンズで覗く、という設定が、この映画ではGPS監視装置で外へ出られないということになって、怪しいやつの怪しい行動を目撃してしまうのだが、動けない主人公ははたしてどうするか?というのが眼目なのは全く同じ。
ケールを演じたシャイア・ラブーフは「トランスフォーマー」でも活躍していた若い俳優さんですが、なかなかの熱演。けっこう細かく置かれた仕掛けも悪くはないけど、サスペンス映画なのにお洒落でエレガントだった「裏窓」とは比較にならなかったねー。ラストに向かってテンションがあがっていくときのホラー味も私はちょっと好きになれんなー。ま、ああいう観せかたが今風なんでしょうが・・・・・
スタイル抜群ヒロイン役のサラ・ローマーもピチピチしていて可愛かったけど、「裏窓」のグレース・ケリーの息を呑む美しさとは到底重なりません。ほんとにきれいだったよ、グレース・ケリーは!
「裏窓」なんか関係ナイっ!という若い人向けの映画だったのでした。

★★★☆☆ なんとなくバランスの悪い映画だったな 
posted by りょうじー at 21:58| 青森 ????| Comment(0) | TrackBack(0) | 完全個人的映画評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年11月02日

ブレイブ ワン

ニューヨーク、FMラジオのパーソナリティのエリカ・ベイン(ジョディ・フォスター「ストリートウォーク」という番組で愛するニューヨークの街のさまざまな音を拾い、そこから生まれるストーリーを語ってリスナーの支持を集めていた。
私生活でも婚約者デイビッドとの結婚を間近に控え幸せをかみしめる日々だったが、夜のデートの途中、突如暴漢に襲われ激しい暴行を受けたデイビッドは死亡、彼女も重傷を負うという事件が起こる。
最愛の人を失った悲しみと、ニューヨークの影の部分に遭遇したショックで、エリカは身体の傷が癒えたあとも立ち直れない。気力をふりしぼって街の喧騒のなかに出てはみたものの、恐怖感はぬぐえない。思わず護身用の拳銃を闇屋から買ってしまう。
深夜、買物をしようと入ったコンビニで、逆上した夫がレジの仕事をしている妻を射殺する現場に居合わせてしまう。その時店内にひとりしかいなかった彼女はとっさに身をかくすが、気配に気づいた射殺犯に銃口をむけられ、反射的に持っていた拳銃で逆に男を射殺してしまう。自分の予想外の行動に震えのとまらないエリカだったが・・・・・


なにを隠そう、私はジョディ・フォスターのファンです。「羊たちの沈黙」のすばらしい演技は忘れられない。前に観た「フライト・プラン」は映画のできそのものがあまりよくなかったので、彼女の熱演も空回りで欲求不満が残っていたのですが、この映画のジョディ・フォスターは凄い!この複雑な心理描写を必要とする役は、彼女以外ではおそらく演じきるのは難しかったと思う。だいたいが美人じゃない。えらもはってるし。年もとってしわも目立ちます。でもその熟練の演技は彼女をとても美しく輝かせる。すてきな女優ですねー。

「許せますか、彼女の選択」がキャッチコピーだけど、その方向から観るとこの映画は賛否両論が絶対生まれてくるわけで、それを考えすぎると映画自体がつまらく見えてしまうのでは・・・。むしろ映画の発端からちゃくちゃくと打たれていた布石がラストに向かって次々と活きてくる。ミステリー映画としてのパーセンテージを高くして観たほうが絶対良いと思うよ。確かに社会派映画の側面もあるんでしょうけどね。

★★★★★ 私は高水準の映画だと思う
posted by りょうじー at 16:39| 青森 ????| Comment(2) | TrackBack(0) | 完全個人的映画評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月21日

キングダム〜見えざる敵〜

サウジアラビアの首都リヤドにある米国人居留地、休日を楽しむアメリカ人たちに対して警察官になりすましテロリストが突然銃撃を加える。逃げまどう人々が集まったところで自爆テロが・・・・女性やこどもも含まれる犠牲者の数は100人を超える。おびただしい数の負傷者の応急治療現場でさらに大規模な爆発、周到に計画された無差別テロで死者はついに300人を超える大惨事となってしまう。
報告を受けたFBI捜査官のリーダー、フルーリー(ジェイミー・フォックス)は、その現場で現地担当官の仲間が犠牲となったこともあり、即刻サウジアラビアに飛び、FBI自らの手で捜査すべきと主張するが、外交上の複雑な関係を理由に政府の姿勢は消極的。裏工作によって5日間の期限付きながら三人の優秀な心利いた仲間とともにどうにか現地入りに成功するが、異なる宗教、慣習のなかで捜査は困難を極める・・・・・


映画自体はよくできていたと思います。あり得ない話、とは言い切れないシチュエーションなので、鋭いリアリティがある。派手な銃撃戦も臨場感がすごい。アクション映画ファンも唸ると思います。犯人探し的なミステリー風味も適度に効いていて飽きさせない。アメリカとサウジのこみいった関係、イスラムの複雑な慣習などもよく描かれていて「ふーん、そういうことがあるんだなー」と、勉強になったこともありました。
でもこれがアメリカ映画であることは動かない。全体に公平な目でアラブ側も描こうとする姿勢は確かにある。従来の映画よりも丁寧でこまかく描かれていたと思う。しかし流血には流血で応酬するしかない、正義は常にアメリカにあるのだからそれもしかたがないのだ、という論理は変わっていないように思いました。だから、観終わったあともなんとなくスッキリ感がないまま、淀んだ気持ちで席を立たなきゃいけないのが残念。

まったくの絵空事だったら、もっとずーっと楽しく観れたのにな。

★★★★☆ 映画的手法という意味ではポイント高いんだが・・・
posted by りょうじー at 21:18| 青森 ????| Comment(0) | TrackBack(0) | 完全個人的映画評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする