定期演奏会も彼らが自分たちで考え自分たちでこなしていくべきだと思っています。
だから「それはちょっと違うんじゃ・・・」とか「そっちの道じゃなくてこっちの道のほうが良いのに・・・」みたいに感じることもままあるけど、よっぽどのことじゃない限りその歯がゆさをがまんして口を出さないことにしている。自分の学生時代を振り返っても、なんにも知らずにやっていたことが今になってわかるわけで、いろんなつまずき、挫折を経験してこそ成長するものだと思うから。
今回の弘前大学混声合唱団第45回定期演奏会も少しバタバタしたところがあって、内心「大丈夫か?」と思わないでもなかったけど、不思議に歯車がかみ合って良いコンサートになりました。
1ステはコンクール曲(池辺晋一郎・千原英喜)、JPOP(中島みゆきなど)をはさんで、旅のかなたに(信長貴富)、ラストに黒人霊歌をもってきたのが予想以上にバラエティに富んだ感じになったし、聴衆の質もとても高かったということもあって、全体にすごく雰囲気の良いまとまった定期演奏会になったと思う。こういう時のホールはえもいわれぬ暖かな空気になります。そりゃ、あそこの音程がどうだったとか、どこそこが崩れていたと言いはじめればきりがありませんよ。しかしそういうことよりももっと大切ななにかがそこにあった。そんな演奏会になったことが私はとてもうれしいですねー。
私が弘混を指揮するようになったのが四年前、その時の新入生だった学生が今回卒団ということも感慨深いものがありましたが、今年度の終わりというよりも次期に向けての重要なポイントにもなった定演だったと思います。
黒人霊歌、「Battle of Jericho」や「Soon ah-will be done」は中学生たちが歌うのを今でも時折耳にしますが、今回のラスト「Were you there」(ロジェ・ワグナー合唱団版)なんかはこれを歌えるソリストがなかなかいないこともあって演奏される機会はほとんどないのを残念に思っていました。今回は柿坂昌子さんという得がたいスピリチュアル歌いをお迎えできたことで、この名曲を披露できたことに感謝しています。演奏も合唱の若々しい響き(技巧的にはまだまだですが)をバックに深い精神性をたたえた柿坂さんの「霊歌」が会場にしみわたりとても良い本番でした。
「イエスが十字架にかけられたその時、お前はそこにいたのではないか?」と我々皆が問いかけられるこの「Were you there(汝はそこに)」。演奏の終わり、静かに音が消え去っていったあとの余韻が心の中にまだそのまま残っています。


りょうじーさんが弘混に来て4年も経ったんですね。あっという間でしたね。3年、5年、10年・・・と続けていく中で、最初はたいてい上手くいくものの、5年目あたりから途端に難しくなりますね。
私は在団中には見えなかった、気付かなかったけど、卒業して初めて見えたものがたくさんありました。不思議ですけど。
今の大学生に「自主性」というのは難しい課題ですね。自分で課題を見つけられる人間はどんどん先に進んでいきますから。そういう人は滅多にいないですけど。
さすがに大学生に手取り足取りなんて気持ち悪いですが、各自の中で課題や目標が見つけられて、それをクリアするためのマイルストーンの置き方が分かるようになると、物凄いスピードで世界が広がっていくんですが。世界の広がりを感じ、目の前の壁を越えた時の快感が面白く、どんどん先へと行く人、なかなかマイルストーンの置き方も置く場所も分からず挫折してしまう人、様々ですです。経験していくうちに学んでいくことであり、経験しないと学べないですし。
そういう意味でも、彼らが様々なものに果敢に挑戦し、自己を高めていって欲しい、そのプロセスで何が大事かを、合唱や合唱団、勉強、大学、りょうじーさん初めとする先輩方から学んで欲しいと思います。
自分で経験しないとクリア出来ないけど、プロセスの方法を間違えてもクリアできないです。じゃあ、どうしたらよいかを考えることを、弘混の人間に求めたいです。りょうじーさんだろうと誰であろうと、ヒントはくれても、答えを出すのは己ですから。
でもその短く狭いなかでも、合唱団という組織に属することで発見し身につくこともあると思います。
ごく自然にいろいろなことを分かって欲しい、と願いながらやっています。もっとも合唱のレッスンを通してなので、おのずから限界はありますが・・・・・・