2007年11月15日

全国大会見聞録・弐

《課題曲を振り返る》

全国大会が終了し、今年の全日本合唱コンクール課題曲の全ての演奏が出揃ったことになります。そこで課題曲について改めて思ったこと。
男声については演奏の数そのものが少ないから、比較という意味で言及できないので割愛させていただきます。女声の課題曲は、前にも書きましたが珠玉の4曲。今回全国大会でも美しい演奏を聴かせていただきましたが、東北支部大会高校の部の競い合いの中での粒よりの名演があまりに鮮烈に残っている・・・・ということで、私が深くかかわったということもあるので混声の課題曲について私見を。

混声合唱の課題曲、いわゆるG1〜G4、演奏頻度でいうと第4位がG4の“U”:孤独の迷宮(五つの母音の冒険」から)長谷部雅彦詩・曲。
全国大会でもこれを採りあげたのは職場の部の1団体のみ。したがって聴いておりませんが、この曲を選択するのは勇気がいったんじゃないでしょうか。春の課題曲選びのときは、ほんとのことをいうと食指がちょっと動いたんだよねー。これを鮮やかに演奏すればインパクトがあるんじゃないか、と思ったりしたんだけど、合唱団との共感度を考えると二の足を踏まざるを得ませんでした。これはきっと良い曲ですよ。機会があったらやってみたい。

第3位、G3“鼻”(「人体詩抄・抄」から)新川和江詩・池辺晋一郎曲。全国大会では5団体が演奏。
大学Bグループの2番目と3番目の《立正大グリー《福岡教育大》の課題曲が“鼻”。お目当てだったんですがねー、間に合わなくてほんとに残念!聴きたかったなー。聴けたのは《北海道大学混声合唱団》の演奏のみでした。好みとしては自分に合っている、と思いました。お洒落なところがけっこう出ていたし、音楽的な部分がしっかりとしていて、聴くほうがシラケるようなユーモアの押し付けもない好演だったと思います。ただ、これ以上のなにかを加えてインパクトを出そうとすると、結局セリフ・擬音系の演出でやっちゃおう、ということになる。そうなるとちょっと違うな、と思うわけで、そのへんの頭打ち的なところがどうしてもあるんだよねー、この曲。私もけっこう試行錯誤した部分ではあります。

第2位、G2“Dona nobis pacem”グリーグ曲。13団体が選んでいました。
とりあげていたのはやはりBグループの団体が多かった。短い曲だけれどスケールは大きい曲ですからねー。しかし繊細さも同時に要求されているこの難曲、「おおっ、これだ!」という演奏は聴けなかった。一般Bではきっと良い演奏があったんだろうな。
《東京工業大コールクライネス》、140人という大所帯、後半のヤマ場では大迫力のサウンドが聴けるのでは、と期待したが、案外肩透かし。あれれ、という間にスーッと曲が終わっちゃった。静かな出だしからゆっくりと高揚していき、ついに訪れるクライマックス、そしてまた熱は冷めていっていずこともなく消えていく。楽譜で見るとそのイメージはとても分かりやすいんだけど、実際音にしてみるとそれがメチャ難しい。ポリフォニックな部分にだけこだわってもダメだし、かといって、音のマッスを表現しようとタテの合わせを気にし過ぎても失敗する。曲者音楽でした。

堂々の第1位はG1“Valde honorandus est”パレストリーナ曲。24団体が演奏するというぶっちぎり。
今年は私自身はこの曲をやっていないので、かえって客観的に楽しめましたが、これもルネサンス音楽のおもしろさを思い切って出したところはほとんど無かったと思う。中間部から後半にかけての絢爛たるポリフォニーをもっと楽しませてもらいたかったですねー。
西洋音楽ももとをたどれば単旋律。誰か音域が合わないやつがいて違う音程で歌ったのが四度違い。お、これ、いいね、とハーモニーが生まれ、さらに修道院のこっちの回廊と向こうの回廊で同じ旋律をたまたま時間ずれで歌われたのが、お、これもいいじゃん、とポリフォニーが生まれた。(のじゃないかと思う)異なる場所(合唱団の立ち位置ということじゃないよ)から旋律が次々に生まれ、私たち聴衆の目前で絡み合っては去っていく。その妙味を聴かせてくれたのは私の聴いたなかではただひとつ、《カントゥス・アニメ》だけでした。曲の出だしから終止まで、音が有機的に連絡し合い、呼応し合っていたのはここだけだった、と思います。今年もっとも心に残るG1でした。脱帽!

今年の混声の課題曲4曲は、いろんな意味でちょっと難し過ぎだと思う。いわゆる難易度は高めでもいいけど、もっと素直な選曲にして欲しいな。
そろそろネタ切れなんですかね?

来年はG1に挑戦してみようかな。
posted by りょうじー at 14:24| 青森 ?J| Comment(0) | TrackBack(1) | 演奏拝聴記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/66661561

この記事へのトラックバック


Excerpt: ルネサンス音楽ルネサンス音楽とは、ヨーロッパにおいて、15世紀から16世紀のルネサンス期に作られた音楽の総称である。中世西洋音楽とバロック音楽の中間に位置し、その中心をなすのは、ポリフォニーによる声楽...
Weblog: オーケストラ!
Tracked: 2008-02-05 11:24