コンクールの自由曲は、西村朗作曲の「死にたまふ母」から其の一「ひろき葉は」を歌っています。
「死にたまふ母」は斉藤茂吉の59首からなる短歌の連作で、「其の一」茂吉が母危篤の知らせをうけ故郷へ急ぐ、「其の二」母の臨終前後、「其の三」野辺の送りから骨揚げまで、「其の四」葬儀をおえて母を偲ぶ歌の四部構成になっているのがそのまま4章の混声合唱曲に仕立てられています。
「死に近き母に添寝のしんしんと遠田のかはづ天に聞ゆる」など代表的な歌のある2章も良いのですが、あまりにダイレクトに悲痛な気がして今回選ばせていただいたのは1章。最愛の母の死が近いことを知り東京から故郷山形へと急ぐ茂吉のはやる心、写実・写生の歌人茂吉の一見たんたんとした描写の裏に満ちる孤独感と寂寥、特に1首目(曲の冒頭)「ひろき葉は樹にひるがへり光りつつかくろひにつつしづ心なけれ」の静かな風景のなかに潜む深い哀しみに心打たれたからです。
音楽も起伏に富んだダイナミックな構成になっていますが、単なる歌声の叫びではなく、深い魂の叫びの音を実現するために、これから全国大会まで残された練習の時間を費やすことになります。
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