天候が徐々に回復して雪が止む方向にいくのでは、という淡い期待はすっかり裏切られ、厳しい寒さと雪のなかを青森駅へ。近くの新青森駅へ歩いていくという手もあるが、荷物もけっこうあるし、第一深い雪で歩道がないところを漕ぐように歩くのは大変だ。何百円か余計にかかるが、路線バスで始発駅の青森駅まで。実はこれが正解だったのでした。
あちこちの豪雪で遅れ・運休が出ている中で、午前11時16分発の弘前行きには何の表示も無く駅構内のアナウンスも通常通り。まぁ、最悪途中で10分・20分遅れたとしても、午後2時からのステリハ開始には悠々間に会う計算だから、比較的空いている座席に腰掛けおもむろに文庫本をとりだして読み始めた、その途端、周囲の乗客がなんだかざわつきはじめた。本を読んでいて半端に耳にしていたホームのアナウンスをよく聞いたら、「・・・・事故があり・・・」「・・・・運休・・・」
え、えーっ!!!そりゃ大変だよ。
今から家へとって返してマイカーで向かうか?本番前に大部分のエネルギーを使っちゃうことになるよなー、それじゃ・・・・・などなど一瞬頭がパニックになりかかったが、アナウンスをさらによく聞いたら「代行バスで対応・・・・・・」
おおっ、時間がある程度かかってリハ開始の時間に間に合わなかったとしても、学指揮さんたちのステージのリハを先にやっておいてもらえばなんとかなる。指示に従ってそそくさと駅のロビーに戻りバス待ちの列に並ぶ。そのあたりは今改修工事もやっていて、それでなくても狭いスペースにぎっしりという感じで弘前方面行きの人の列。なんだか昔戦争映画で観た収容所へ連行される人々の光景が連想されて、少し落ち込んだ気分になったが、こういうときの危機管理はけっこう慣れているJR(?)、なかなか落ち着いた対応で、15分ほどでバスが来て乗車することができた。
弘前でゆっくりと昼食をとりコーヒーでも飲みながらリハに備えようというマイプランはもろくも崩れたけど、1時ぐらいには弘前に着きそうだ。やれやれ。青森・弘前間のバス路線は現在廃止されている(昔はよく利用した)ので、バスでの弘前行はひさしぶりだよ。これはこれでなかなか楽しかったな。
弘前大学混声合唱団第47回定期演奏会当日はそんなふうに始まったのですよ。乗った列車が運休して代行バスで、というのは生まれてはじめて、考えてみればなかなか得がたい経験でしたなー。
リハーサルはちゃんと間に合いました。日本人の伝統的ファストフード、JR弘前駅の立ち食い(今はすわり食いではあるが)そば屋でさっと鰊そばを食べ、ちょうどきた土手町循環100円バスに飛び乗ったら市内渋滞もなく会場最寄のバス停に着いたのが2時15分前、むしろ時間ロス無し、ちょうどの楽屋入りになりました。
「新人類」は死語かも知れないが、私から見ればふだんの練習はどちらかというと散漫な雰囲気のする現代学生たち。「おい、もう少し集中できんかっ」と思ったりすることも多い。なんとなくユルーいんだよねー、彼ら。これで社会に出たらエラく苦労するんじゃないかと心配ですよ。せっかくのサークルなんだからもっと燃えなきゃもったいないだろう、とも思うんですが・・・・・
それでもさすがにステージリハーサルからはふだんにはない集中力がビンビンする。なんだい、やればできんじゃねーかよ。要所要所がサッと固まっていくのが気持ちいい。学生指揮者ふたりのステージも急激に音楽になっていく。もちろん足りないところはいっぱい残っているが、今年度の弘混の集大成(あくまでも内部的な)としての演奏はなんとかなりそうだ。
そして本番。コンクール報告ステージ。
秋のコンクール時では聴こえなかったこなれたサウンドがあったと思う。あのコンクールの音のまとまりにこの人間の温かみがあればひとレベル上の演奏になるのだがなー・・・・・
メンデルスゾーンの「6つの歌」。
これも本番がもっとも曲の良さが出たと思う。でも、この優れた音楽を教材として、もっといろいろなことをやってみたかったなー。もう少し柔軟でしなやかな合唱を聴いていただきたかった。練習しはじめの頃の悲惨を思えば、ここまでできたことに達成感はありましたが、それも音楽そのものの力がそうさせているのであって、われわれの力じゃありません。
若者語のひとつに「無理!」というのがある。I can not・・・・ということを現すのに「無理」という。
そこには「無理」をするのを嫌う若者文化があると思います。やることはやるけど「無理」を押してまでやるのは嫌、なんとか「無理」をしないで心を満たしたい、ということなんじゃないかな。
でもね、「無理」をしないでカタルシスはないよ。「無理」をしていろいろこなしてこそ得られるものがあるのだよ、青年っ!
もうひとつ突き抜けられるところがあるのに「無理」を厭うことであきらめてしまうのはもったいない。
このたびの定演、私のステージも学指揮さんのも、あるレベルまではきていると思うけど、そこから先の、もっと聴衆にインパクトを与えられるところにはついに行き着けなかったと思います。
「無理」は大儀ですよ、確かに。
でもそれをやらないと目標は遠のくばかりなんじゃないかな。
posted by りょうじー at 22:24| 青森 ☁|
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本番流汗記
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